「荒馬踊り」は、男性が衣装をつけ「馬」となり、女性がその馬の手綱を握る「手綱取り」となり、男女がペアになって踊る日本では珍しい男女ペアの踊りです。地元では荒馬がご縁で結婚されたご夫婦もおり、アツアツの荒馬も見ることができます。
振りを覚えるだけなら1日で習得できるシンプルな踊りですが、その踊りを30年、40年かけて磨き続けているツワモノたちが地元にはごろごろいます。なかでも生きる伝説となっているのが荒馬の「師匠」平山久志さん。70歳を越えた今でも県外からくる若者たちに熱心に指導を行いつつ、自らの荒馬に磨きをかけています。
祭りでは3分程の踊りを、集落じゅうの家の前で踊ります。荒馬の行列には、太鼓、笛、鉦といったお囃子に、扇型の「ねぶた」も加わり、なんとも賑やかな雰囲気で静かな田園風景のなかを歩いていきます。
この祭りに通っている若者たちの正体は、立命館大学や名古屋大学の日本の踊りや太鼓に取り組むサークルのメンバー。一部学校教育に取り入れられた「民舞教育」のプログラムの一つに、この今別町の荒馬踊りがあり、それがご縁で地元を訪ね、祭りに参加するにまでいたりました。
荒馬が終われば、文化会館で楽しい宴の始まりです。40畳はある会館に、何台もビールサーバーが並べられ、所狭しと地域のおじさんおばさんたちに、県外の学生たちが入り混じり、再会と祭りの成功を祝いながら杯を重ねていきます。そして夜が進めば、地域の方々のお宅に若者たちがお風呂をいただきにいきます。お風呂を待っている間にも会話がはずみ、お互いの地域の話題から、恋愛相談に、進路の悩み…。荒馬から始まった縁が、人と人との縁に結び変わっていきます。
大学を卒業しても大川平へ訪れる若者も多く、それは荒馬の時期に限りません。 お盆や、収穫祭、お正月、さらには新婚旅行で大川平を訪れた若者までいます。祭りから紡がれる縁が育ち、地域の一つの軸となっていく大川平の荒馬、ぜひこの夏訪れてみてはいかがでしょうか。
大川平荒馬踊り
日程:2015年8月7日(金)、8日(土)、9日(日)
場所:今別町大川平地区
最寄駅:JR津軽線の「大川平駅」
問い合わせ:今別町観光協会(0174-35-2014)