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2016年5月23日 岩手移住計画

花巻の農業なら自分が活かせるプロジェクトがきっと見つかる!アグリプロジェクトコーディネーターに寄せられる期待と可能性

花巻市の地域おこし協力隊「イーハトーブ地域おこしプロジェクト」第2期では、アグリプロジェクトコーディネーターを募集しています。

「農業」とひとくちに言ってもお米、野菜、果物、花卉など、思い浮かべる分野は人によって違うはず…。でも実はこれらすべて、花巻で収穫できるものです。さらに花巻は岩手で唯一の空港を持ち、その立地から各方面への観光拠点となることもあります。コーディネーターはその手腕次第で、食材と観光をベースに様々なアイディアを形にできる可能性があります。

今回の取材では、コーディネーターによってさらなる活性化が期待される複数のプロジェクトとそれを牽引する経営者と若手農家、そして花巻市農政課の職員にお話をうかがいました。

朝ごはんプロジェクトをはじめとした若手生産者のサポートを強化することで、花巻の農業を元気にしたい

hanamaki_nousei_09▲花巻市農政課の寺林さん

花巻市農政課の寺林さんによると、花巻市では農業にまつわるプロジェクトが複数動いており、農政課としてもアグリプロジェクトコーディネーターとともに支援してきたいとのこと。花巻市は、大迫地区のぶどうのような特徴的な農産品は多くはありませんが、裏を返せば、農家の規模も法人から個人まで様々で、だからこそ米、野菜、果物、肉など様々なものが一定規模で揃うということのようです。

寺林さんは「今動いているプロジェクトを含め、特に若手生産者にアプローチし、花巻の農業全体を元気にしていきたい。」と話してくれました。

アグリプロジェクトの中でも今、注目されているのは2015(平成27)年7月にスタートした「はなまき朝ごはんプロジェクト」。これは、その土地の食材をおかずに、最高の朝ごはんを宿泊者に食べてもらおうと、市内にある温泉宿の若旦那衆3人によって発案された取り組みです。花巻市内の場合は花巻市農村青年クラブ、通称「4Hクラブ(よんえいちくらぶ)」が温泉宿に野菜を提供しています。

hanamaki_nousei_10▲若旦那衆の2名。左から、湯の杜ホテル志戸平・久保田龍介さん、愛隣館・清水隆太郎さん。

意外なことに、観光業と農業はほとんど接点がなく、若旦那衆は農家と接点を持つのにしばらく時間がかったそうです。4Hクラブのメンバーも若旦那衆も同世代のため、始まったばかりのこのプロジェクトをもっと広めていこうと意気込んでいます。今後は、食材を提供している農家の“顔”を宿泊者に知ってもらうこと、消費者の声を生産者にフィードバックすることに加え、農業体験と宿泊をあわせたツアープログラムなど、温めていることもたくさんあるようです。

若旦那衆から協力隊希望者にメッセージをいただきました。

「花巻には地元の人間が見つけきれていない魅力がたくさんあると思うので、それを外からの視点で発掘して、全国に発信してほしいです。外からやってくる地域おこし協力隊が、人と人とをつなげ、新しい化学反応を生み出せると思う。朝ごはんプロジェクトは花巻の魅力を伝える一手段。もし興味があればこのプロジェクトや地域PRに一緒に取り組み、苦楽を分かち合いましょう!」

 

朝ごはんプロジェクトに野菜を提供している若手生産者たちが期待すること

hanamaki_nousei_11▲左から渕澤秀峰(ふちざわひでみ)さん、照井健二(てるいけんじ)さん、本宿慈洋(もとしゅくよしひろ)さん、中村和哉(なかむらかずや)さん

朝ごはんプロジェクトに参加している4Hクラブの皆さんは20代から40代の若手農家20名ほどで構成されています。ご実家が地元で農業をしていた跡継ぎの方が多いですが、新規就農されたという方もメンバーに在籍しているそうです。

それぞれが主とする作物は異なっていますが、これを活かし、その時手が空いているメンバーで集まり、定期的に市内外の物販イベントで販売しています。ほかにも年に一度の研修で他地域の農家を訪ねるなど、とても意欲的です。

彼らのように、外部環境の変化に対応しようと心がけている生産者であっても、加工品開発や販路開拓に充分な時間を割けないのが現状です。協力隊にコーディネーターとして関わってもらうことで、朝ごはんプロジェクトのような他業種との連携を増やし、自分たちに適切なボリュームでの業務用取引も模索したいそうです。お任せするだけでなく、一緒に取り組みたい!という姿勢が伝わってきました。

 

人知れず切られてしまう東和のりんごを絶やしたくない。東京からUターンしてきたりんご農家の平野さん

hanamaki_nousei_05▲東和地区でりんご農園を営む平野さん

平野悠広(ひらのひさひろ)さんは、以前は都市部で働いており、数年前に地元に戻ってきました。果樹の魅力や働きがいはどんなところにあるのでしょう。

「他の作物と違い、果樹農園の魅力は採ってすぐに食べられること。例えばりんごは収穫時期を知るためにも、その場でぱくっと食べて、味を確かめます。収穫時になるとりんごのでんぷんが抜けるので、そういうことを直接食べて確認します。作業しながらうぐいすの鳴き声が聞こえてきて、いいなぁと思います。これは都市部で働いていた時にはなかったことです。」

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りんごの作業は365日手入れが必要と言っても過言ではありません。桜のように可憐な花を咲かせますが(写真上)、これにも摘花(てっか)という、花を一部残して摘む作業が必要ですし、収穫した後の冬場には、翌シーズンにあまり木が大きくならないように剪定といって枝を切り落とす作業が必要となります。

平野さんによると、果樹園は1年手を加えないと元に戻すのが難しいそうで、それが分かっている高齢の農家さんは、体力的に厳しいと分かると、人知れずりんごの木を切ってしまうのだとか。平野さんはこういった高齢者が長年手塩にかけて育ててきたりんごを始めとした果樹を守っていきたいと話してくれました。

今、平野さんが温めているのは果樹を通じたコミュニティづくりです。東和町は以前の取材からも、よそ者にオープンな気質があるようなので、東和在住に限らず、外からかかわれる機会を設けることで、果樹栽培を絶やさない道を一緒に探りたいと、協力隊へ期待を寄せていました。

 

まだあります!花巻で動き出しているアグリプロジェクト

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前段の朝ごはんプロジェクト以外にも、構想段階のものも含めていくつかのプロジェクトが動いていますので紹介します。

・農業女子プロジェクト
2015(平成27)年2月、農村に関わる女子の会を初開催。年齢層は30代から50代の農業従事者が集まり、現在では約60人がこのプロジェクトを通じてつながりを持ちました。これからもネットワークづくりに留まらず、市内外の若手女性農業者の交流を促し、農業の活性化を目指していきます。

・どんまいプロジェクト花巻(4Hクラブ)
お米を食卓に、という思いから、花巻産玄米を使用したスナック3種を開発。お米からできるお菓子がどん菓子と呼ばれていることからその「どん」と「米」の音読み「まい」を組み合わせ、英語の「Don’t mind.」ともかけて、みんなを励ますプロジェクトとしました。プロジェクトメンバーの夢は全国各地にご当地どんまいを広げること。

・リバーサイドプロジェクト(4Hクラブ)
北上川沿いにある耕作放棄地を体験農園として整備。市民や観光客、移住希望者などを対象に、農業体験はもちろん、収穫したものをその場で食べたり、産直で販売したりすることを予定しています。

農政課の寺林さんによれば、これらすべてをサポートできなくても大丈夫とのこと。まずはいろいろと顔を出してみて、自分が活かせるプロジェクトを探してみてください。地元の人どうしをつなげるのは意外とよそ者であることが多いので、プロジェクトのコラボレーションも可能性があるかもしれませんね。

 

外からの視点と提案を歓迎しています!花巻の農業を一緒に元気にしましょう

hanamaki_nousei_12▲花巻市農政課職員のみなさん

花巻は、「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」などの作者でも有名な宮沢賢治の故郷でもあります。彼は作家であると同時に農業にも心血を注いだ人物でした。花巻では“賢治先生”と呼ばれていて、地域おこし協力隊の別称に使われている「イーハトーブ」も彼が生んだ言葉です。

今では偉人の宮沢賢治ですが、その生涯を振り返ると、当時としては奇抜とも言える斬新なアイディアや行動力で、農業の未来を切り拓いていたのかもしれません。宮沢賢治のDNAが色濃く残る花巻で、コラボレーションや商品開発、販路開拓に取り組んでみませんか?花巻市農政課の職員もあなたを待っていますよ!

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岩手移住計画岩手移住計画は、岩手にUターン・Iターンした人たちの暮らしをもっと楽しくするお手伝いをし、定住につなげていくために活動している任意団体です。県内各地で、「岩手移住(IJU)者交流会」と題したイベントを開催しているほか、岩手県などが主催するUIターンイベントにメンバーが参加し、移住希望者の相談にも対応しています。首都圏と岩手をつなぐ活動にも力を入れています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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