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開催日:2016.3.11 - 3.13

地方だからできる働き方を実現する!「岩手のすき間を埋める若者たち(紫波町の場合)」

このイベントは終了しました

岩手県紫波(しわ)町。盛岡市や花巻市に隣接したこの町では今、「オガールプロジェクト」を中心に、紫波町の抱える課題や土地の特色を活かしながら地域を元気にするための活動が活発化しています。 今回のイベント「岩手のすき間を埋める若者たち(紫波町の場合)」では、紫波町での働き方に可能性を見いだし挑戦している20~30代の若者たちがスピーカーとして登壇。紫波町の現状や課題、現在の取り組みなどについて語りました。

「自分の暮らしは自分で創る」を行政としても積極的に支援

今回の参加者は30名。そのうち7割ほどが岩手県の出身者とのことでした。ファシリテーターを務めたのはNPO法人wiz 理事/COOの黒沢惟人さん。震災後に東京から出身地の岩手へUターンし、岩手で新たな取り組みを起こす若者同士をつなぐ活動をしています。

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まずは紫波町役場経営支援部企画課の須川 翔太さんから、紫波町の概要について紹介。紫波町は南部杜氏発祥の地として知られた町で、盛岡市や花巻市のベッドタウン的な役割を果たしている一方で、近年は新規就農者も増えているそうです。最近では、商店街での「リノベーションまちづくり」にも力を入れようとしています。「自分の暮らしは自分で創る」という思いがある人を、行政としても様々な取り組みでバックアップしています。

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アパレル業界から半農半Xに転身

続いてゲストスピーカーの2人目は紫波町でぶどうを生産する「 Akala FARM(アカラ・ファーム)」の百済 和至さん。岩手県花巻市出身の百済さんは高校卒業後に東京に出て、大学卒業後はそのまま都内でアパレルの仕事に就いていました。30歳を前に都心部での大量生産・大量消費に疑問を感じ始め、2011年の震災を機に岩手へUターン。2012年からAkala FARMを立ち上げ、贈答向けの生食用ぶどうの栽培や販路開拓に取り組んでいます。その一方で、閑農期には地元のお祭りやイベントに参加したり、冬季にはスキー場の仕事をしたりなど「半農半X」の岩手暮らしを楽しんでいます。 紫波町で農業に携わる中で感じるのは、やはり他地域と同じく後継者不足の問題。自身のAkala FARMの経営を軌道に乗せていく活動とともに、地域として営農を続けていく体制を作っていけるよう、協力者を求めているとのことです。

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農作物の可能性を追求しながら、現代らしくオシャレなアプローチをめざす

3人目のゲストは、高橋農園・ポテトデリマメタ店長、高橋 和久さん。実家は紫波町で農家を営んでおり、家業を継ぐため農業高校へ進学。その後、調理師専門学校を経て青森県八戸市にてお菓子屋に就職。オガールプラザの産直「紫波マルシェ」への出店を機に紫波町へUターンしました。 農作物にいかに付加価値を付けて展開していけるか、その取り組みの中で紫波マルシェ内にじゃがいも料理のテイクアウト専門店「ポテトデリマメタ」を出店したり、周辺の農家とコラボして加工商品を開発したりと日々さまざまな可能性を模索しています。

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高橋さんがめざすのは「紫波町を『オシャレな田舎町』に」。一次産業の現場から、若者ならではの感性を活かした新しいアプローチを模索しています。

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違う土地で働いたからこそわかる、紫波町での働き

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続く第2部のトークセッションでは、とくに他地域での生活を経てUターンしたお2人を中心に、現在の働き方についてもう少し踏み込んでお話をうかがいました。 東京で暮らした百済さんは、「紫波町に来てからは時間の流れ方が変化した」とのこと。日々移ろいゆく自然とともに暮らしていることから「昨日と同じ1日はないのだな」と感じるのだとか。また、自営の農家として生活していることから、 「自己マネジメントのバランスが重要だなと感じますね。農業っていうのは、身体をフルに活用するので、毎日生真面目すぎるほどに仕事に全力を注ぐと、逆に身体を壊してしまうことにもなりかねないんです。雇われの身ではない分、何があっても自分で解決していくしかありません。身体が辛いときには寝坊してみたり、「ほどよく自分を緩める」というのも意識してます。」 と語っていました。 また百済さんの発言の中で印象的だったのは、仕事のやりがいについて「東京にいた頃と同じくらい充実している」という言葉。東京時代は雇われる立場として、紫波町に来てからは独立して仕事をしているわけですが、「あくまでやりたいことや方向性が変わっただけ」であり、基本的な仕事へのスタンスは一貫されているようでした。

高橋さんは実家の事業を継ぐために紫波町に戻ってきた形ですが、自分自身の事業として仕事をとらえ、自分で組み立てていける現在の仕事に大きなやりがいを感じているそうです。また、実家暮らしで時間の余裕が作れる利点を活かし、その分を自分の考えを整理したりする時間に充てられるのも大きなポイントだとか。そのような時間の中から、新しいコラボ商品の展開やパッケージなど、個性やセンスを活かしたアプローチができているようです。

 

紫波町や岩手の持つ可能性を模索し、それぞれの活動につなげていく

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第3部はゲスト・参加者交えてのフリートークです。それぞれの岩手との関わりや今後岩手に関して実現したいことなどについて、参加者同士で情報交換がなされていました。参加者の多くは現在首都圏で仕事をしているもののいずれは岩手に移住したいと考えており、その時に向けての情報交換やつながり作りの場として、積極的な交流が行われていました。

 

参加者の声

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■川井さん
NPOカタリバのスタッフとして、岩手県大槌町に4年間住んで活動をしていました。現在は東京に住んでいますが、岩手との繋がりが作りたいと思い参加しました。

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■中村さん(左)

花巻出身。現在東京でITの会社をしていますが、いずれは岩手でITの会社を作りたいと考えています。去年から岩手関連のイベントに参加するようになって、今回も情報収集と繋がり作りのために参加しました。子どもの教育のため5年以内には岩手に戻りたいと考えています。

■田牧さん(右) 元々出身は福島だが、両親が現在岩手に移り住んでいる。将来、自分が岩手に移り住んだとして、どういう形で岩手に関わっていけるか考えたいと思い、情報収集をしているところです。現在、農家はどんどん減っていると思っていたが、若い人たちを中心に就農者が増えつつあるという話は意外でした。

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■志和さん(左) 今現在岩手にいる方が何を考え、どうしようとしているかを知りたかったので、イベントでお話をうかがえて良かったです。私自身は現在東京に住んでいるので、東京にいながら岩手についてできることをやっていきたいと思っています。

■小野寺さん(右) 一関出身。4月から地元に戻るかもしれないので情報収集のために来ました。地方を盛り上げていくうえで若い人たちの力は必須なので、今の若い人たちがどんなことを考えているのか知りたくて参加しました。県外にいると統計的な情報は手に入りやすいですが、実際の生の声を聞ける機会がなかなかないのでイベントでお話をうかがえて良かったです。

そのほか、下記のような学生さんの参加者もいました。

■及川さん 大学3年生。岩手出身でUターンしようと思っているので、地元で活躍されている方のリアルなお話が聞けてよかったです。今年の3月から就職活動が始まるので、岩手と行ったり来たりして活動する予定。官民での取り組みについての事例も聞けたので、自分も民間の立場からまち作りに関われたらと思います。

■菅原さん 大学4年生。今度の4月から公務員として地元岩手に戻るのですが、個人としても岩手のためにできることはないかと思って情報収集しています。今回のイベントでお話をうかがって、自分自身の考え方や行動次第でさまざまな可能性が作り出せるのだと思いました。

 

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このように、紫波町はじめ岩手では若者による様々な動きが活発になりつつある岩手県。2016年3月11日(金)-13(日)に地域資源を活かした働き方を実践する人と、将来岩手と関わりたい人が岩手県紫波町に集う「MEET UP IWATE -3DAYS ACADEMY in SHIWA TOWN-」が開催されます。コンテンツも盛りだくさん!是非、ご参加ください。

⇒MEET UP IWATE -3DAYS ACADEMY in SHIWA TOWN-イベント情報

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ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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