市原市の特産を使ったお土産をプレゼント
▲「いちはら梨サイダー」と「いちじくまんじゅう」
本イベントでは、参加者へのお土産として小湊鉄道がJA市原市と連携して開発した「いちはら梨サイダー」と、いちじくを白餡で包んだ「いちじくまんじゅう」が用意されました。どちらも市原市の特産品を使った商品で、参加者に話やスライドだけでなく、「食」でも市原市の魅力を感じてもらいました。
参加者のほとんどが市原市を訪れた経験有り
▲コーディネーターの渡邉康洋さん
本イベントのコーディネーターを務めたのは、旅行業での経験を生かし多くの自治体で地域・観光振興など地域の活性化を研究している桜美林大学教授・渡邉康洋さん。「移住は勇気がいると思います。東京から1時間ほどの市原市では2拠点生活やパラレルワークが可能ですが、どんな課題や利点があるか考える場にしていただきたいです」と、挨拶がありました。 今回の参加者は30名ほどで、市原市を訪れたことがある方がほとんど。男女比は同じくらいで、年齢層が幅広いのも特徴でした。
市原市のいいところや取り組みを紹介
▲市原の魅力を語る河村さん
まずは、市原市企画調整課の河村伸彦主事から街の魅力が紹介されました。渡邉さんが「二つの顔を持つ街」と仰っていたように、市原市の北部地域は、ベッドタウンとして住宅街が広がる一方で、南部は美しい田園風景が残る、まさに通える里山です。
「よくCMの撮影などで使われるローカル線・小湊鐵道が走っています。市原市は菜の花が有名なのですが、小湊鐵道の養老渓谷駅の近くに約2ヘクタールの菜の花畑が広がっていて、秋には紅葉もきれいなので、ぜひご覧いただきたいと思います」と河村さん。
また、市原市では南部を舞台に2017年4月から「ICHIHARA ART×MIX 2017」を開催予定です。2014年に第1回を開催して今回が2回目。廃校になった小学校や、小湊鉄道の列車やバスなど地域資源を活用したアート活動が地域の方とともに展開されます。
「南部の地域資源として一番心強いのは、地域で活動される方々です。美しい里山の風景は人の手が入ることで保たれているので、感謝しています」と、河村さんは市原市に住む人の魅力も伝えてくれました。
移住先でのわらじは何足もあったら楽しい
▲ハレとケデザイン舎 植本修子さん
続いては、すでに地方でローカルビジネスを手掛けている先駆者によるゲストスピーチです。まずは、「ハレとケデザイン舎」の植本修子さんによる「廃校を活用したビジネス。地方でのパラレルワーク」。
植本さんは、東京でのデザインの仕事を通じて、徳島県三好市の廃校と出会い、パティシエのお姉さんと移住されました。移住の一番の理由は、子育てするのに適した環境だったと振り返ります。2014年10月にハレとケデザイン舎をオープンし、東京のデザイン事業や地域のガイドブック作りなどデザインの仕事をベースに、地域の食材を使って開発したものを販売したり、カフェやホステルを営んだりと、観光的な視点でコンテンツを開発しています。
トークの中で「私はデザインの仕事と、地元の素材を使った商品の開発の、二足のわらじを履いていますが、わらじは何足もあったら楽しんじゃないかなと思います。移住にあたっては、以前の職場から引き継いだデザインの仕事を一年分くらい用意して、カフェで収益が出なかった時でも大丈夫なように準備していきました。自分に余裕を持って行くと楽しく過ごせるのではないかと思います」と、移住にあたっての心構えを教えてくれました。
地域の人と仲良くなると小さな仕事がいっぱい
▲まよひが企画 佐藤恒平さん
続いては、「まよひが企画」の佐藤恒平さんによる「協力隊任期後のローカルビジネスのつくり方」と題したお話。佐藤さんは2010年、山形県西村山郡朝日町に地域おこし協力隊として着任しました。 佐藤さんは福島県出身で、山形での学生時代に「地域振興のためのデザイン」を研究。その経験を生かして地域おこし協力隊として、朝日町を拠点に地域振興を企画とデザインでサポートする会社・まよひが企画を立ち上げました。
「朝日町のゆるキャラ・桃色ウサヒをプロデュースすることからスタートし、今では地元の小学校の授業なども請け負ったり、町が所有する古民家をリノベーションしたゲストハウスを2017年1月27日にオープンし運営したりしています。」と佐藤さん。名物キャラクターとなった桃色ウサヒは、地域の人から気軽に声をかけて貰えるようにわざとシンプルにしたそう。
「小さな仕事って地域の中にたくさんあるんですよね。地域の人たちと仲良くなることで仕事をもらって、それらをつないで新しいビジスにしていく、それがまよひが企画が大事にしていることです」と佐藤さん。「パラレルキャリア、地域にはどんな仕事があるかと思う方がいらっしゃいますが、地域の人と仲良くなると小さな仕事がいっぱいあります。」と、参加者にメッセージを送りました。
人をつないでいくこと
▲内田未来楽校事務局長 小出和茂さん
最後は、市民団体「報徳の会」を立ち上げ、「内田未来楽校」として1928年に建てられた旧内田小学校の木造校舎の保存活動を行う小出和茂さん。「市原南部の地域活動 − 内田未来楽校の場合」をテーマに、市原市南部の歴史や近況、「内田未来楽校」の活動内容を伝えてくれました。
「『内田未来楽校』ではただ校舎を保存するだけでなく、地域の魅力を再発見し、人と人とのつながりや人と地域の絆を作り強化できる仕掛け作りをしていくことで、全ての世代が交流するコミュニティや元気な地域をつくれればと思っています」と小出さん。地域の住民が毎週開催する朝市や手作り市を通じて、自分の作品や地域の特産品を加工して販売するなど、住民の意識も変わってきたと言います。
市原市南部では人口が10年近くで15.3%の減少し、高齢化も進んでいるほか、耕作放棄などでイノシシが増加するなど地域の問題を抱えていますが、地域にいる人が活躍することが大切だと小出さんは言います。 「手作り市や今回の『ICHIHARA ART×MIX 2017』を通じて新しい人材が市原市に関わってくれるような流れができればと思います。市原南部には協力してくれる人材が揃っていますので、市原南部に来て何か見つけていただければ」と、市原市の魅力をアピールしました。
アンケート結果発表
ここで、イベントの初めに参加者に配られたアンケート結果が発表されました。 移住もしくは中長期滞在をするとしたら何をしたい?という質問に対しては、
1位:豊かな自然を満喫したい
2位:地域の人と交流したい
2位:静かにのんびり暮らしたい
4位:今よりも広い家で暮らしたい
5位:スポーツや趣味を充実させたい
また、田舎で企業するとしたらどんな仕事をしてみたいですか?という質問に対しては、
1位:古民家や廃校を利用した飲食店の経営
2位:観光業
3位:地元の食材を使った物の流通や販売
4位:古民家や廃校を利用した宿泊施設の運営
5位:スポーツビジネス
という結果になりました。
ゲスト3名によるトークセッション
▲アンケートを踏まえてのトークセッション
トークセッションでは「市原市南部地域での2拠点の暮らしと仕事の可能性」と題し、先ほど発表されたアンケート結果も踏まえながら、ゲスト3名の経験によるアドバイスなどが伝えられました。
小出さん「自然を満喫したいということですけど、市原には小湊鐵道があり、里山に関わりながら地域を活性化する観光業があります。東京から1時間ほどと訪れやすい場所で、里山を満喫していただければと思います。
佐藤さん「市原市は都心から近い位置にあるので、移住という考え方でなくてもいいですが、地域に何度も足を運ぶことから色々な可能性が生まれると思います。まずは地域の人の困りごとを聞いたりする中で仕事が生まれるので、地域の人との交流を重ねることが大切です。」
植本さん「廃校を利用したカフェや大自然を満喫したいなどは、私と同じですね。廃校や古民家を活用する中で最初にこだわり過ぎないのがいいと思います。いただくものがあるので、それを跳ね除けず一旦受け入れて、ユルユルな感じでやっていく方が長続きしますし、楽しくできると思います。がっつり仕事をしにいくのではなく、地域の要望に応えられるくらいの余裕を持っていくと、トラブルになりにくいのではないでしょうか。」
小出さん「何でも受け入れるのは地域の人にも必要で、地域の慣習やしきたりなどを来た人に押し付けるだけではいけないんしゃないかと思います。変化していく姿を見せていくことが大事ではないでしょうか。」
3名のゲストのやりとりを通じて、最後に渡邉さんが「私が本日のお話の中で大切だと感じたのはヒューマンな部分です。受け入れ側と地域に関わろうとする方、双方が距離感を縮める努力をしてこそ、移住なりパラレルワークが良い方向に向かうのだと思います。」とまとめ、閉幕しました。
興味があるテーマに別れての懇親会
▲盛り上がる懇親会
▲美味しそうなケータリング
トークセッション終了後には、第2部として希望者による懇親会が行われました。「市原市全般」「観光ビジネス」「廃校・古民家活用」の3つのテーマ中から、興味のあるグループに分かれて食事をとりながらゲストと参加者とが話し合う場。トークセッション中に聞けなかった質問や移住にあたっての悩みなどを話し合っていました。