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2016年8月30日 ココロココ編集部

「たかはぎFM」が目指す茨城県高萩市の未来~もっと地域のそばに~【いばらきさとやまの未来 vol.2】

緑豊かな里山と風光明媚な海岸線に恵まれた茨城県高萩市。山間部には花貫(はなぬき)川と関根川が流れ、美しい渓谷を作り出している。紅葉スポットとして首都圏から多くの観光客が訪れる花貫渓谷や名馬里ケ淵(なめりがふち)は、シーズンを問わず多くの人に親しまれている。
また、高萩海水浴場、小浜海岸、ささき浜など、マリンスポーツや観光の名所も点在し、海と山のコラボレーションを楽しめるのが同市の魅力だ。

そんな同市で2011年の東日本大震災を期に災害復興ラジオとして始まり、その後も情報発信拠点の一つとして多くの市民に愛されているのが「たかはぎFM」だ。
今回は、同局でパーソナリティーも務め、高萩市の活性の為に日々奮闘する理事長の鈴木拓雄さんに同局の地域との関わり、高萩市の魅力について話を伺った。

災害復興ラジオから地域活性ラジオへ

「たかはぎFM」は、東日本大震災からの災害復興ラジオとして始まった。

ラジオが始まった当時は市役所の一階にパーティションで区切っただけのスタジオで、まわりの音や声も聞こえる状態で街の情報、支援物資情報などを放送していた。放送内容は災害情報のみだった。

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しかし、震災から時間が経つにつれて、『災害情報のみを流しているだけでは、誰もラジオを聞かなくなってしまう。この災害復興ラジオが市民に上手く情報発信する媒体になることができれば、高萩市の大きな力になるのでは…』とラジオを聴きながら鈴木さんは思ったという。

そんなとき、高萩市から「ラジオ局の運営をやってみませんか」と商工会の青年部へ声がかかった。青年部に所属していた鈴木さんをはじめ、「なんとか高萩を良くしたい!」と思っている人が多く、FM局存続に理解を示してくれる有志が集まった。みんなラジオ局の運営は初めてだったが、鈴木さん達の熱い想いを理解した高萩市が協力・支援してくれたそうだ。

『高萩市の担当の方が、FM局存続という私たちの思いをとても良く理解してくださったのは、開局に向けてとても大きな力になりましたね。』

局内に並ぶ機材

▲局内には配信機材等が並んでいる

そして、たくさんの人たちの協力を得て、震災から2年目の2013年4月に音楽や地域の情報を高萩市民に発信していくFMラジオ局「たかはぎFM」が誕生する。

しかしながら開局当時は、ラジオの仕事経験の全く無いスタッフばかりだったがゆえに、苦労が絶えなかったと明かす。
『当時は全てが手探り状態でして、何が正しくて何が間違いなのかも分からない素人の集まりでしたので、運営はものすごく大変でした(笑)それでもみんなで一つのものを作り上げている、そういう充実感は凄かったですね。』

 

市民とともに作るラジオを目指して

同局は、コミュニティラジオの特徴を生かし、地域に密着した取材や活動が多いという。ラジオ局とリスナーとの距離の近さが「たかはぎFM」の魅力の一つだ。

取材風景

『ラジオでは、地元の中学校や高校の部活動や文化祭の取材を行っています。また、地域イベントを開催していまして、そこに「たかはぎFM」のブースを出して活動をしています。そこでは番組表を配ったり、オリジナルグッズを販売したりして、このラジオ局の周波数76.8Mhzと、「たかはぎFM」を市民のみなさんにもっと知ってもらえるようにPRをしています。』

また、市内のイベントなどで市民に直接アンケートを配り、どの時間帯にどの年代が聞いているのかをリサーチしたり、市民の方々の生の声を頂いて番組内容に反映させたりしている。まさに市民の為のラジオ局である。

『このラジオの愛称である“ナローハー”は76.8Mhzの読み“ナ(ナ)・ロ(ク)・ハ(チ)”とビーチが近く美しい高萩ですから美しいビーチの象徴でもあるハワイの挨拶の“アロハ!”をかけています。この愛称は、市民のみなさんからの一般公募で採用したものなんですよ。』

たかはぎFMロゴ

『市民参加型のコミュニティラジオの特性を生かし、今後も積極的に取材に出掛け、地域の生の声を番組にしていきたいんです。』

 

何が地域のためになるのかを考える

さらに、たかはぎFMでは放送から広報まで関わるインターンシップの受け入れも積極的に行ってきた。インターンシップを受け入れると、身近な友人が番組に関わることで若い人たちがラジオを聞いてくれるきっかけになるだけでなく、若い力が加わり現場の雰囲気が明るくなることも期待できるという。

『以前はデザインが得意な茨城大学の学生さんに、番組表やタオル・エコバッグ・缶バッチ・Tシャツなどのオリジナルグッズの製作に関わって頂きまして、みなさんの目に見える形でたかはぎFMに関わる広報活動をして頂きました。』

 「たかはぎFM」を紹介するチラシ

インターンをする側にとっても、普段見ることがあまりないラジオ放送の現場を経験できるため、職場体験に来る地元の中学校も多いそうだ。また、インターンの経験をきっかけに将来、放送業界に携わる人が増えてくれたら嬉しい、とも語る鈴木さん。ここ高萩市から、放送界を担う人材が誕生するかもしれない。

もともと高萩市には、メディアの放送局が無く一般的にラジオやテレビは別世界のものという感覚の人がほとんどであるそうだ。そのため、コミュニティラジオとして地域と関わるにあたり気を付けていることも多いという。

『敷居が高いといいますか…。ラジオやテレビの場合、茨城で都内の商業施設のCMが流れていますから、なんか遠い存在なんですよね(笑)。ましてや自分たちがそれに出演するとなると、想像がつかない。別世界だと感じる人がほとんどだったと思います。でも、コミュニティラジオは市民のみなさんのものですので、出演してもらったり、番組作りなどにもできるだけ参加してもらうことで、見えない“壁”を取り払っていければと思っています。』

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同局では、子育てに忙しい家庭向けに救急医療の情報や、総合福祉センター2Fのふれあい広場で開催されるイベントの告知、生活に役立つ身近な情報発信についても積極的にしている。

また、ラジオ放送では珍しい市議会を中継する番組の放送も行っている。
『自分達が投票をした議員が、どのような発言を市議会でしているのか聞いてみたい、という市民の声をたくさん頂きまして、放送しています。』
と、市民の声を直接反映させている。

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さらに、「たかはぎFM」が身近な存在として市民に浸透してきている実感も少しずつ出てきたようだ。
『以前はラジオ局側から情報収集して、開催されるイベント等を「ラジオで告知してみませんか?」と依頼して放送していたのですが、最近では市民のみなさんから「ラジオでこれを告知して欲しい」と逆にお願いされて放送することも多くなりました。』

ラジオが、市民と一体となって強力なツールとなり街おこしにつながってゆく。今後の「たかはぎFM」と高萩市の動きにも注目だ。

 

もっと市民の見える・触れられる距離に

「たかはぎFM」は、現在、高萩市総合福祉センターの2Fにあるスタジオから放送している。市民が気軽に見ることのできない状態での放送にはもどかしさを感じているという。

鈴木さんは今後の「たかはぎFM」の可能性について熱い思いを語ってくれた。
『今後は、高萩駅前にガラス張りのサテライトスタジオを設けて、みなさんの笑顔を見ながら、触れ合いながら放送ができればいいな、と思います。みなさんにとってラジオをより身近な存在にしたいんです。』

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『駅前のイルミネーションを見ながらサテライトスタジオで生放送をして、市民の皆さんといっしょにイベントを盛り上げたりすることができたら最高ですよね!』

「たかはぎFM」がさらに盛り上がっていくとき、高萩の街がどんな姿になっているのか楽しみになってくる。

 

誰もが活躍できる、活力にあふれる地域「高萩市」に

「たかはぎFM」の他にも高萩市には魅力が多い。海水浴場やバーベキューが楽しめるキャンプ場も多く、海や山などの自然が豊かなだけでなく、各地からの交通アクセスが良いのも魅力だ。

高萩海水浴場

『高萩は水戸といわきの中間地点にありますので、どちらにも出やすいですね。東京からだと、特急で約1時間30分の距離にありますので近いです。高萩に来てみて、思ったより近い!とびっくりする方は多いですよ。』

また、高萩市の雰囲気については、『誰かに声をかければ手を差し伸べてくれるような優しい人が多く、地域の連携が取れているため、新しく引っ越す人でも住みやすいのでは。』と鈴木さんは語る。

「たかはぎFM」が好例であるが、市民と行政が一緒になって街おこしをしていこうという活気がある高萩市。“自分達のやりたいことができる街”として若者が活躍できる場があり、今後の発展が期待できる。

駅の西側を美しく彩るイルミネーションの発案も、高萩に仕事で来た人が「駅前をもっと賑やかにできないか」と思ったのがきっかけで、行政が動いて始まったそうだ。

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高萩市は、高萩市出身で日本で初めて日本地図「改正日本輿地(よち)路程全図」をつくった地理学の先駆者・長久保赤水(ながくぼ せきすい)が生まれた“地図の街”でもある。

鈴木さんは最後に、『市民のみなさんと一緒に、これからの高萩の地図に新しいもの、楽しいものを書き加えて行きたいですね。』と語った。
高萩市の発展、「たかはぎFM」の可能性を笑顔で話す姿が印象的であった。

取材先

たかはぎFM

住所:茨城県高萩市春日町3-10

http://t768.net/

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ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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