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2016年12月8日 ココロココ編集部

まちづくりのヒントを求めて。自然と人が共存する福井県池田町を巡る旅 〜プレスツアーレポート〜

福井県池田町は福井県の中央に位置する人口約2700人の小さなまち。森林率92%というこのまちで行われている取り組みを、以前こちらの記事でもご紹介しました。
今回は池田町主催の「プレスツアー」にココロココ編集部が参加。池田町のおすすめスポットを巡り、このまちの動きを取材してきました。

ココロココ編集部が福井県池田町にやってきたのが2016年10月のこと。東京から新幹線、特急しらさぎ、バスを乗り継ぎ、約4時間半かけてやってきました。

JR鯖江駅からバスに乗り池田町へ向かっていると、次第に視界に入るものが緑色になってきました。さすが山と木に囲まれたまち。本当に緑が多い!普段パソコンやスマホばかり見ている私たちの目が緑で癒されていきます。

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今回は池田町が主催したプレスツアーに参加し、まちが取り組んでいるさまざまなプロジェクトの現場を見学させていただいた私たち。「木」「食」「移住」という3つのキーワードからレポートしていきます。

 

豊かな自然を最大限に活かす、木の施設

まずは、池田町を語る上で欠かせない「木」のことから。山と木に囲まれている池田町では、2012年から森林資源の活用や保全、雇用や教育、移住促進などを目的とした「木望のまちプロジェクト」が始まりました。町外の人たちをターゲットにした新しい施設も続々と誕生し、大きな注目を浴びています。

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子育て世代に木と親しんでもらおうと誕生した「おもちゃハウス こどもと木」。ぬくもりのある木のおもちゃであふれた空間では、赤ちゃんも安心して遊べると、休日の池田町には家族連れの姿が劇的に増えました。

「こどもと木」の隣に出来た「Wood LABO ikeda」はもともと木工房だった場所をリニューアル。自由に使える工具やレーザーカッターなども充実し、子どもから大人まで思い思いのものづくりが体験できます。

4jpg▲中には自由に使える工具がずらり。初心者向け木工体験から本格家具作りまで、レベルに応じた教室も行われているそう

5jpg▲プレスツアーではカッティングボードを作りました!電ノコを使うなんて何年ぶり?

そして、2016年春にオープンして以来、大きな話題となっているのが、「Tree Picnic Adventure IKEDA」です。以前ココロココでご紹介した時はまだ建設中でしたが、こんな素敵な場所になりました。

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日本トップクラスの長さを誇るジップラインやアドベンチャーパークなどメディアに取り上げられる機会も増え、県外からも多くの人が訪れています。アウトドアを楽しむ若い人だけではなく、お年寄りや地元の人もくつろぐことができるようなカフェスペースなども設けており、幅広い世代に愛される場所になっていました。

7jpg▲アドベンチャーパークは翌日筋肉痛になること間違いなし!(実際に体験した編集部メンバーも筋肉痛になりました)

今や年間を通して人口の5倍以上の方が訪れるようになり、新たな雇用の創出にもつながっている「木望のまちプロジェクト」。これらの施設が誕生したことにより、池田町は若い人からお年寄りまで幅広い世代が交流するまちへと変わりつつあります。

 

食べたものが作物を支える堆肥となる、このまちの循環

池田町に来て私たちが感じたのは食の豊かさ。手間ひまかけて作られているのはもちろん、どの場所でいただいた料理も驚くほど素材の味が濃くて美味しかったのです。

8jpg▲宿泊先の「農村de合宿キャンプセンター」では、地元のお母さんたちで構成されたグループ「白いかっぽうぎ」の皆さんが腕を振るったおいしい郷土料理をいただきました

9jpg▲お漬物だけでごはんが何杯も進む驚きの美味しさ!

10jpg▲まちの中心部にある「おもちの母屋(ままや)」では、池田町のもち米で作ったおこわを中心に、地元の食材を使った定食をいただきました

お米や野菜の美味しさの秘密、それは農作物づくりに欠かせない肥沃な土にあります。池田町では2003年からボランティアのメンバーがまちの各集落の生ゴミを回収し、牛糞ともみ殼をまぜて完全無化学の有機肥料を作っているのです。

11jpg▲生ゴミが集められ堆肥となる「あぐりパワーアップセンター」。

12jpg▲牛舎が併設。中はとてもきれいです

13jpg▲生ゴミが生まれ変わり、完全無化学の有機肥料へ。嫌な臭いはまったくしません

池田町ではまちぐるみでお米や野菜の有機栽培に力を入れており、この有機肥料が大きな役割を果たしています。池田町産の野菜を卸している町外のアンテナショップでは、安心安全でおいしい野菜が手頃な価格で購入できると大人気なのだそう。

14jpg▲福井市にあるアンテナショップ「こっぽい屋」には、池田町産の野菜を求めてたくさんのお客さんが訪れます

ただ美味しいだけではなく、食べたものが再び新たな食につながっていく地域資源の循環。自然と環境がつながった取り組みは、池田町ならではの素晴らしい取り組みだと感じたのでした。

 

移住者で盛り上がる池田町

「木望のまちプロジェクト」をはじめとした池田町の取り組みは、町外のひとを魅了し、少しずつ移住者が増えつつあります。

今回のプレスツアーでは池田町に移住した皆さんとふれあう機会もありました。

15jpg▲まちの中心部「こってコテいけだ」前では週末になるとマルシェがオープン。多くの人の交流の場になっています

16jpg▲土のあるところで子育てを、と20年以上前に池田町へやってきた大阪出身の長尾さん夫妻。移住を機に農家となり、週末はマルシェでネルドリップのコーヒーを提供しています

17jpg▲東京出身の溝口さん(右)は結婚を機に池田町にIターン。自家製のハーブティーやオリジナルのスイーツをマルシェで販売しています

「マルシェを開いていると、県外から来たお客さんと話すことが多いんです。『池田町っていいところだね』とか『移住したい』という話を聞くことも多くて、嬉しい限りです」と言うのは池田町の「ファームハウス・コムニタ」という宿でスタッフをしている坂口さん。

18jpg▲坂口さんが作る豆乳ソフトクリームは絶品でした!

池田町の魅力は?と尋ねると、皆さん口を揃えて言っていたのが、「自然の素晴らしさ」「ごはんの美味しさ」「人のあたたかさ」。 たしかにその通り。私たちも実際に池田町に訪れてみて、もうすでにその魅力にハマりつつありますから…。

とはいえ、実際に移住するとなると重要なのが家探し。池田町では不動産会社がないため、家探しは紹介を中心とした個人のやりとりになりがちです。池田町が気に入り「住みたい!」と思っても、見ず知らずの町外の人には簡単に家を貸してくれないなど、一筋縄ではいかないことも。

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そんな課題を解決するために誕生したのが、町役場内に併設された「いけだ暮LASSEL(くらっせる)」です。ここでは移住を検討する人たちへの物件案内や就職情報の提供、生活情報まで細やかなサポートを行っています。

20jpg▲蔵付き物件や畑がある物件など、魅力的な物件が随時更新されています

「『暮LASSEL』は仲介会社ではなくあくまで町の機関の一つです。このまちのことを一番知っている存在だからこそ、しっかり情報を提供し、町民と移住希望者の間に入ってきめ細かいサポートを行っていきたいですね」と池田町役場の高尾さん。

21jpg▲「家だけでなく移住者がうまく地域に入れるようにサポートするのが私たちの役割ですね」と高尾さん

役場という枠を超えて、町民に寄り添ったアクションを起こしていく。そんなスピードの速さも、移住しやすいまちづくりには重要なポイントなのかもしれません。

 

ほかにもこんなところに行ってきました!

「木」「食」「移住」の三つのポイントからご紹介した今回のレポート。ツアーではこのほかにもたくさんの魅力的な場所に案内していただきました。

毎年9〜11月の夜明け頃、前日からの気温差が大きく、風の弱い朝というコンディションが整った時だけ現れる「雲海」。今回、運良くココロココ編集部も見ることができました!

22jpg▲朝5時起きで山へ。都会じゃ見られない景色に心を奪われました(写真提供:長尾農園)

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魚見地区にある「魚見手作りこんにゃく道場」では、昔ながらの製法でこんにゃくを作りました。蒸したこんにゃく芋を1時間かけてしっかり手でこね続けるお母さんたち。ぷるんとした歯ごたえとこんにゃく本来の風味は、手作りにしか出せない美味しさでした。

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まちが抱える課題と向き合い、心の通った取り組みを推進している池田町。豊かな自然環境を最大限に活かし、着実に前進し続けているまちの姿に魅了される人が多いのも納得です。ぜひ一度池田町に訪れ、その魅力を体感してみてください!

(編集・構成/石原藍)

取材先

おもちゃハウス こどもと木

住所:福井県今立郡池田町薮田4-1-1

http://www.kodomotoki.ikeda-kibou.com/

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ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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