移住を成功に導くためには、いくつかの押さえておきたいポイントがある。
最初のステップとして重要な意味をもつのが移住プランづくり。
自分にふさわしい移住プランを立てるためには「目的」と「場所」を考えることが必要になるはずなので、まずは、考えるヒントをご紹介しよう。
「移住」という言葉からイメージするものは十人十色
ひと口に「移住」といっても、人によってイメージするものや、求める移住の中身は違っているだろう。それは当然のことで、「移住」という行動にはその人の人生観やライフスタイルが色濃く反映されるから、十人十色、いや"百人百色"の「移住」があってもおかしくないはず。
しかし、移住について興味を持っている人、これから考えてみようという人にとっては、「百人百色と言われると、どこから手をつけていいかわからない…」と思うかもしれない。まずは様々な移住のスタイルについて、少し整理をして考えてみよう。
文字通り「移り、住む」こと、それが移住
「移住」。
その言葉の意味を辞書で調べると「他の土地や国に移り住むこと」と書かれている。
文字通り「移り、住む」ことが移住。では、人はなぜ、今の住まいや仕事を変えてまで「移住」を行うのだろうか?
「なんとなく住む場所を変えたいと思ったから」という人も、ごくまれにはいるかもしれないが、曖昧な理由で「移住」を実行する人は少ないはず。大抵の場合は「移りたい」と思った理由や、「住みたい」と思った土地があり、その結果「移住」という行動を起こしたという人が大多数だろう。
つまり「移る目的」と「住みたい場所」を掛け算した答えが「移住」だと考えると、ヒントが見えてきそうだ。
「移る目的」、つまり「やりたいこと」は人によって様々
移住を成功させている先輩たちの体験を聞いていると、様々な「移る目的」と「住みたい場所」が浮かび上がってくる。たとえば「移る目的」を聞いてみると、一例として次のようなキーワードが浮かびあがってくる。
- 長年の夢、農業を始めたい
- 地域おこしに貢献したい
- 豊かな自然に囲まれて子育てがしたい
- 自分らしい生き方を見つめ直したい
- 定年後は夫婦でスローライフを実現したい
- 静かな場所で創作活動に打ち込みたい
- 自分で育てた野菜をお客様にお出ししたい
- 自然と農業を体験できる民宿を開きたい …etc
それまでの人生経験でかなえられなかった夢や、社会的な課題を解決したいという目標など、色々な視点から「移る目的」を考えていることがわかる。「移る目的」は「やりたいこと」という言葉にも置き換えることができそうだ。
「住みたい場所」のバリエーションも千差万別
一方、「住みたい場所」についても様々なバリーションがある。
- 大好きな信州の山の麓
- 一年中いい波がくるサーファー天国の海岸
- 有機農業が盛んで農業学校がある町
- 築200年の古民家に住むことができる村
- 温暖な気候と温泉に恵まれた伊豆半島
- 大好きな友達が移住した町
- 旅行で訪れてひと目ぼれした石垣島 …etc
山や海という、そこにしかない自然環境に対する強い思いを持つ人もいれば、友人の存在、学びたいことが実現できる学校、唯一無二の古民家など、人やモノへの憧れから「住みたい場所」が決まっていく人もいる。自然環境でも信州や石垣島といった特定の場所にひと目ぼれすることもあれば、「いい波が来る海岸」といった特定の条件を最重要に考える人もいる。まさに千差万別、一人一人違った選び方があっていいということなのだ。
「移る目的」と「住みたい場所」の組み合わせが「移住」
様々なバリエーションがある「移る目的」と「住みたい場所」。
そのふたつが組み合わされることで「移住」が実現すると考えたならば、移住のスタイルは十人十色だということがわかるだろう。また、移住を考え始めるきっかけになったのが「やりたいこと」だったのか、「住みたい場所」だったのか、それとも両方なのか、そのバランスも人によっても違っている。だから移住には"百人百色"のバリエーションがうまれてくるということなのだ。
ただ、移住を成功させている先輩たちの体験を聞くと「成功」のためにはいくつかの共通点があり、目的と移住スタイルの関係はいくつかのパターンに分けることができそうだ。
満足できる移住を実現させるための成功パターンを、大きく3つに分けてご紹介する。新しい生き方を選択した先輩達の暮らしぶりから、そのヒントを見つけてみよう。