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2015年4月3日 大川 晶子

「ローカルシフトフェス!! ワイワイしながら地方と東京の未来を考えよう!」ローカルシフトvol.10 & green drinksお茶の水vol.9 取材レポート

ローカルシフトは今回で10回目! 節目の今回はローカルシフトフェスとして、これまでゲストできていただいた皆さんに集まっていただき、それぞれの新たな取り組みや考え方について伺いました。
会場は、東京・神田にあるシェアスペース「the C」。東京の真ん中で、ゲストと参加者とで意見交換をしながら、地方と東京との未来について模索します。

緊張を解きほぐすレゴ・ワークと会場紹介

チェックインとして、恒例になりつつあるレゴ・ワークからスタート!
各グループで自己紹介をしながら、今回はレゴで「LOCAL SHIFT FES」の文字づくり。
レゴで文字を作るのは意外と難しい……各グループ話し合いながら知恵を絞って個性豊かな「LOCAL SHIFT FES」を完成させました。

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また、「株式会社リビタ」の土山広志さんに、会場である「the C」の紹介をしていただきました。2015(平成27)年1月に入居が始まったばかりの「the C」は、シェアハウス・コワーキングスペース・ラウンジからなるシェア施設で、地下一階ラウンジは一般に開放し、地域や文化に関するイベントを開催していく予定だそうです。

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トークセッション1

トークセッションの第一部は「地方のハブとしての東京」と題して、金子愛さん、本郷寛和さんと有賀敬直さん、遠山浩司さんによるプレゼン。

千葉県富津市金谷の使われていなかったスーパーをシェアアトリエ「KANAYA BASE」として蘇らせた金子さんは、何度でも足を運びたくなるような関係性作りを大切に活動してきました。 2014(平成26)年いっぱいで「KANAYA BASE」を離れ、現在は「the C」を拠点に、地方と東京を繋ぐ活動をされています。人と出会える地方のおもしろさと同時に、東京でのリアルイベントの重要性も感じているそうです。

「お茶の水スキマ大学」の本郷さんと有賀さんは、まずは東京のコミュニティに触れること、そして、いきなり地方移住することはハードルが高いので、東京にピットインできる場を作ることを提案し、現在東京のローカルと地方のローカルとを繋ぐことでできることを模索しています。

第一部最後のプレゼンは遠山さん。「やかまし村」がある茨城県石岡市八郷か、シェアハウスがある東京都豊島区大塚か、重心をどこに置こうか悩んでいる当事者でもあります。どんな暮らしをしたいのか、自身が八郷で初めて触った感触を大切に考えているそうです。その中で、”都会かローカルか”ではない、グラデーションでもいいのではないかという提案を行いました。

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3人のプレゼンを受けてのディスカッションでは、今後どんな風にしていきたいかという内容について話し合いました。

金子さんは、地方と東京とを分けずにグラデーションとして繋げていく役割に力を入れていきたいそうです。また、本郷さんと有賀さんは、空きビルの一室をホテルにして、地方から来る人に対して東京に住む以外の選択肢を作ることで東京を変えたいと提案されました。遠山さんは、コミュニティや情報を得るためのベースメント機能の必要性を話し、本郷さんと有賀さんが提案したピットイン構想が実現すればいいですねと今後の取り組みに期待されていました。これに対して金子さんも共感し、東京だけでなく地方にもピットインを作る必要性を感じました。

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トークセッション2

トークセッションの第二部のテーマは「地方・田舎に移住すること、旅するように働くこと、そのライフスタイル」。千葉明日香さん、藤井麗美さん、河村和紀さんがプレゼンを行いました。

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ローカルシフトイベントをきっかけに、移住を決めた千葉さん。現在は京都に完全移住し、「京都移住計画」のコンシェルジュとして移住したい人と現地の人とを繋ぐ役割として活動されています。自身も移住を悩んでいた時に、話すことでモヤモヤしていた物事がクッキリしたと、希望や悩みを話し合うことを勧めていました。

この4月から鎌倉に完全移住予定の藤井さんは、3月で「里山ホテル」の取締役社長・種まき係を退任し、東京で「種まきサロン」を開催しています。なぜ100%ローカルシフトしなかったか、NVCという手法を使い108のニーズで分析をしたところ、藤井さんが求める物事が茨城で全て満たせなかったからだそうです。ODAコンサルタントや経営者など様々な職業をしてきた藤井さんらしい分析で、こういった考え方は移住に悩む人々の参考になりそうです。

河村さんは最近のプロジェクトである「きらめ樹プロジェクト」を通して感じた、自分が想像できる未来を持つかどうか、ということを大切にされています。 宮沢賢治の『農民芸術概論綱要』の一節「永久の未完成 これ完成である」を自身の状況と重ね合わせ、都市と地方のどちらかに決めるのではなく、行ったり来たりを時間を掛けて積み重ねていくのも良いのではと提案しました。

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ディスカッションでは、移住で得たもの失ったものについて話し合いました。

千葉さんは友人・収入・仕事を大切に移住を考えたが、いざ移住すると、消費することが少なくなり、趣味の旅行が仕事と直結していて不安は解消されたそうです。藤井さんは、地方ではお金を介在しないでものを得られることが多くあると、マネタリー経済を自分から手放すことで生まれる豊かさについて話してくれました。

ローカル・クリエイティブ・ワークショップ

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ゲストのトークを受けて「アイデアとやってみたいプロジェクトを出し合おう!」と、

A. 地方で暮らす理想のライフスタイルの未来
B. 地方と東京を行き来するライフスタイルの未来,旅をするように働くワークスタイルの未来
C. 地方のハブとしての東京の未来
D. 地方のハブとしての東京の未来・「the C」の未来

上記A〜Dの4つのグループに分かれて、働き方や未来のスタイルのアイデア、そしてそのアイデアをレゴで表現することに挑戦しました。

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Aグループ(写真:左上)は「生きる!!」をテーマに、働くことと暮らすことが一体となった都会と地方の両方の良さを楽しむ暮らしを提案。

Bグループは、(写真:右上)「Local Scout Caravan」と題して、「あいのり」のようなバスツアーを提案しました。魅力的な街があったら降りて暮らしたりキーパーソンを地方に派遣したりというものです。

Cグループ(写真:左下)は、1週間のうち5日を地方、2日を東京という暮らし「東京ピットアウト」を提案。東京ではシェアハウスに滞在し、各地方の求人や困りごとなどの情報を得ることを目的とした案です。

さらに「the C」の未来を考えたDグループ(写真:右下)は、神田という東京の真ん中の空きビル率が50%もあることに着目し、ピットイン機能を作るのにぴったりであることや、「the C」を訪れる人を介して地方から神田ローカルを活性化させるためのアイデアを募ったりするのはどうかという提案を行いました。

街の未来について、そして自身の未来について、双方を重ねて考えることで、ローカルシフトに対する具体性が増したのではないでしょうか。今回会話に多く登場したピットイン機能が実現すれば、東京と地方との行き来がさらに盛んになりそうです。

第2部 ローカルドリンクス!green drinks お茶の水vol.9

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第2部のdrinksでは、里山ホテルの料理監修している「クエルクス」の辻一毅さんと「753 Cafe/Shop/Gallery」の関口春江さんによる無農薬野菜を使った料理が振る舞われました。

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交流会の終盤には、イベントの前日に、お誕生日を迎えられたゲストの千葉さんへ、サプライズケーキをプレゼント!今回、ケーキに使用している果物は、 長野県上伊那郡飯島町の那須野農園で育ったリンゴ。飯島町で地域おこし協力隊として活躍している木村さんを、ココロココで紹介したことから、 那須野農園さんとの繋がりができたのだそう。ローカルシフトイベントならではのサプライズでした。

(飯島町で活躍する地域おこし協力隊木村さん:https://cocolococo.jp/2845

参加者は料理の美味しさを味わいながら、時間も忘れてゲストや参加者同士の交流を深めました。

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大川 晶子
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大川晶子

大川 晶子1986年、静岡県三島市生まれ。エディター・ライター。 京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科(近代建築史専攻)を卒業し、住宅やインテリア雑誌の編集部を経てフリーランスとして活動しています。たくさんの人・もの・ことに触れてその魅力を伝えることで、一人でも多くの方の暮らしをより豊かなものにできたらと思っています。

人と風土の
物語を編む

 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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