【DAY.1】都内からスタート、共に船に乗り込み三宅島へ
シルバーウィークの三連休に、島コンは行われた。
9月17日(土)夜。場所は、東京は京王線沿い・笹塚駅にある居酒屋「ばんやしおさい」から、ツアーがはじまった。
▲三宅島をはじめ、伊豆諸島直産の生鮮食材や地酒を仕入れた、島にゆかりのあるお店。
お店には、このツアーのためにと、三宅島からやってきた14名の男性たちが先に到着。先にスタンバイし、女性たちが来るのを待ちわびる。男性陣は20〜40代、職業も役人から農業、漁業、自営業など幅広いメンバーが参加する。
今回は、東京や埼玉の首都圏から7名、宮城から1名、20〜30代の女性が島コンに参加した。開始時刻に合わせて、徐々に集まりはじめた女性陣は、それぞれ男性陣のいる席へとエスコートされる。
人数が揃うと、「乾杯!」の声が上がり、まずはざっくばらんに互いに話すところから会がスタート。
「飲みニケーション」から見える人柄は、やはり大事だ。この場を通じて、第一印象も決まってくる。
男性陣のなかには、今年初参加の者がいれば、2〜4回目と雰囲気に慣れている者もおり、初対面での会話のアプローチもそれぞれ。
とはいえ、まだ会ははじまったばかりなので、まずは「はじめまして」とゆるやかな時間が流れていく。
▲緑と黄色のブラジリアンカラーが特徴の大型客船「橘丸」。東京〜三宅島〜八丈島の航路を進む。
2時間ほどの飲みの席が終えると、参加者は三宅島へ向かうべく、船乗り場へ。22時30分の東京発、明朝5時の三宅島着である。
意外と知られていないが、三宅島行きの東海汽船が待つ「竹芝ターミナル」は、東京モノレールゆりかもめ・竹芝駅、JR浜松駅が最寄り駅だ。
船に乗り込んだメンバーは、東京の街の夜景を眺めながら、2次会も兼ね、それぞれが準備してきたお酒を手に取り、夜な夜な交流が進んでいく。
お店であまり話せなかったからこそ「この機会に」と声をかけ合う。島のこと、それぞれの仕事や趣味のこと、そして翌日のスケジュールのこと、話題は尽きない。
それぞれ遅くまで残って、会話する者もいれば、程よく寝台へと戻り、次の日に備える者も。
【DAY.2】島の魅力に触れながら、近づいた二人の距離
9月18日(日)早朝。薄暗がりのなか、船が港に到着。参加者は、眠たい目をこすりながら、島へと足を踏み入れる。
▲早朝に到着する船便に合わせて、宿の送迎バスが港まで来ることも多く、新鮮な光景が広がる。
次の予定までは少し時間があるため、男性陣は各自いったん帰宅、女性陣はバスに乗り込み、宿へと向かう。
到着したのは、阿古地区にある民宿「夕景」。三宅島は中心部に火山があるため、住宅や宿が並ぶのは、島の海岸近辺となっているのが特徴だ。夕景も、少し歩けば、海と夕日が眺められる好立地にある。
▲釣り、仕事、観光とさまざまなお客さんが利用する、民宿「夕景」。
宿では、仮眠、朝食をとり、体力をつけ、三宅島内での島コンツアーがはじまる。
夕景のデッキテラスには、総勢20名以上もの若者が集う。夜のマッチングタイムまで島内でのレジャーを通して、距離を縮めていく。
▲3play・リーダーの谷順二さんの挨拶風景(夕景、デッキテラスにて)。
島コンを運営する、島の若手経営者が集った任意団体「プロジェクトチーム 3play」のリーダー・谷順二さんからの挨拶となる。
「ツアー全体で回る場所はもちろん、島の人を通じて、三宅島の魅力を感じてもらえるとうれしいです。恋愛は両目で見つめ相手を知り、結婚は片目をつぶって相手を許せるといいですよね」(谷さん)
そんな茶目っ気がありながらも、激励となる言葉を、残り2日を過ごしていく参加者は受け取った。その後、早速、参加者同士での自己紹介タイムへ。
1人5分という短時間のなか、相手のことを知りながら、自分をPRする。後々のアクティビティにもつながる大事な一時。全員が面と向かって話せるように、一巡したところで終了となる。
昨晩からの交流を経て、現時点で、好感触な相手が誰なのかを書き出していく参加者たち。記入を終えたメンバーは、次のアクティビティのため海へと向かう。
夕景から北へ車を10分ほど走らせ、ビーチにたどり着く。島でつくられたお手製の弁当で、昼食をとったあとには、お待ちかねのシーカヤックがはじまる。
男女ペアとなり、浜辺から海原へとゆっくりと漕ぎ進めていく。
▲息を合わせなければ、なかなか前に進まないシーカヤック。
▲山と海の2つが一望できる、見晴らしのよいエリアまで漕ぎ進めていく参加者たち。
▲シーカヤックには数に限りがあるため、待っているメンバーは、水鉄砲を使ってチーム対抗でのサバイバルゲームを楽しむ。大の大人が必死に追っかけ、逃げまわり、はしゃぐ姿が印象的だ。
▲ビーチすぐ近くの港では、「飛び込み」を体験しながら、ゆるゆると泳ぐメンバーもおり、海を堪能していた。
海でのアクティビティを終えると、島唯一の温泉「ふるさとの湯」へ。ゆっくりと疲れを癒やしたあとには、夕景に戻って、次のイベント「島嫁センパイたちとの女子交流会」がはじまる。
▲センパイの話に耳を傾ける参加者たち。過去に開催された島コンをきっかけに、移り住んだ女性もおり、「仕事(転職)は、どうしたのか」など、参加者からの素直な疑問もここで掘り下げられた。
どんな地域でも、そこで暮らすことの良し悪しはある。大切なのは、自分が暮らしたいかたちがあるかどうかの「相性」だろう。それは、パートナーに限らず、地域にも通じることかもしれない。
そういった部分も含め、出産や子育てなど、女性ならでの視点で話が広がっていく。さらには、Iターンでの先輩移住者もおり、島コン参加者に近い立場の人もいたため、話を聞く姿は真剣そのもの。
「出産のときには、島外に出る」「地域全体で子育てをしているような感覚」など、さまざまな声が飛び交うなか、島ぐらしのリアルを知る、貴重な時間を過ごすことに。
▲BBQでは、それぞれが、好きなところで、好きなように交流するなか、日が沈んでいった。
島暮らしを真剣に考える時間が去ったあとは、またゆるやかに楽しむ時間に。
男性陣が合流して、マッチングタイムに入るまでの最後の交流として、BBQパーティーがはじまる。
▲3play運営メンバーをはじめ、島の人がBBQを盛り上げてくれた。
▲カクテルブースでは、島特産にもなっているバッションフルーツが使われたお酒が用意された。なんとドリンカーは、その生産者が担当していたりと贅沢なおもてなし。隣には、DJブースと運営メンバーの遊び心が垣間見える。
▲島で採れたての新鮮な魚も食卓に並び、食の豊かさを感じずにいられない。
▲夕暮れどき、2Fデッキへと上がり、海と夕焼けを眺める参加者もいた。
こうしてBBQが盛り上がるなか、ついにマッチングタイムとなる。島で共に過ごした時間を振り返りながら、男女それぞれ、自分が心に決めた一人を記し、その結果を待つこととなる。
3play運営メンバーが司会進行をし、カップルとして成立した二人の名前が呼ばれる、緊張の瞬間・・・。喜ばしくも、4組のカップル、8人の名前があがる結果に!
▲カップル成立してのコメントを、司会から求められる二人。お祝いの意味も込め、各カップルごとにシャンパンが用意されていた。
▲今年で4年目の参加だったという男性。念願のカップルとなり、その喜びはきっと大きかっただろう。
この時点で、参加女性8名中4名がカップルとなったが、まだ終わりなわけではない。会終了となるギリギリの時間まで、さらなる交流が続き、夜が更けていく。
【DAY.3】自由時間で知られざる島を堪能、1泊だけでも募る「また来たい」
9月19日(月)。最終日の午前中は、フリータイムを使っての三宅島案内。
成立したカップルは一緒に行動し、残念ながら不成立となったメンバーもそれぞれ懇意の人と一緒になり、島をエスコートするような時間となる。
王道の観光スポットから、地元の人だからこそ知っている名所まで、きっとさまざまな場所を訪れたのだろう。昼食も挟みながら、島で一緒に過ごせる最後の時間が過ぎると、東京へ戻るための港へ。
▲お土産を抱えながら、港に戻ってくる参加者もおり、島を堪能した様子を伺えた。
島コンを終えての挨拶が、3play・谷さんから告げられた頃、船が港へ近づいてくる。惜しみながらも、ついに別れのとき。
船に乗り込む前には、参加者全員での集合写真!
2日前の居酒屋では見られなかったような表情、距離感は、このツアーの成果を物語っている。
船が出発すると、見えなくなるまで手を振ってくれる島の人たち。そんな温かみを感じながら、「また来るね」という想いを胸に、8名の女性は三宅島を去る。
三宅島の「交流・関係人口になる」きっかけをつくる島コン
蓋を開けてみれば、4組のカップル成立となった「三宅島 島コンツアー2016」。三宅島の暮らしと人に興味がある8名が参加したわけだが、カップル成立とは違った価値が、この2泊3日にあったように思える。
参加者が、島の男性と知り合うきっかけになったのは、もちろんのこと、ツアーに携わる人との交流も多く見られた。そのような意味でも、島コンは「島の外と内をつなぐためのプラットフォーム」とも言えるだろう。
一度でも話す機会があることで、「また三宅島に行きたい」と思える、そして「顔の見える関係性で、島に会える人がいる」というのは、その地域の大きな魅力だ。また、そこで暮らす人こそが「地域資源」になる、好ましいかたちが三宅島にある。
「移住人口」だけでなく、移住せずとも関わりを持つ・定期的に足を運ぶような「交流人口・関係人口」が重視されるなか、移住のステップをつくるための離島の取り組みとして、一つのモデルになるのではないだろうか。
三宅島の島コン、2017年の開催にも乞うご期待。