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2017年4月7日 OSHULIFE

岩手町のリアルな暮らしを伝えたい。情報発信コーディネーター募集

岩手県の中部から北部に位置し、県庁所在地である盛岡市に隣接する岩手郡岩手町(いわてまち)。人口流出に悩む岩手町では、移住定住のロールモデルとなる地域おこし協力隊を募集します。

今回は、岩手町役場の高村伸男さん、岩﨑朋之さん、越戸沢友樹さんにお話を伺いました。

岩手県岩手郡岩手町

岩手県の中部から北部に位置し、県庁所在地である盛岡市に隣接する岩手郡岩手町(いわてまち)。まちの中心部にある東北新幹線「いわて沼宮内駅」は東京から約2時間30分の距離です。

まちの自慢はホッケーと彫刻。ホッケーを町技として普及させ、幅広い年齢層が競技に親しんでおり、オリンピック選手も輩出。また、「石神の丘美術館」を中心として文化振興の分野にも力を入れており、30年間開催されてきた「岩手町国際石彫シンポジウム」で製作された彫刻作品を「岩手町彫刻公園」や町内各所に設置しています。

人工芝ホッケー▲町内には人工芝ホッケーの競技場も。

一方、都市部への人口流出に歯止めがかからず、現在の人口は約14,000人。町内唯一の高校を卒業する50名は、そのほとんどが進学や就職などの理由で町外へ。転勤、結婚以外の理由での町外からの転入者はごく少数で、ここ3年は、300人近くもの人口減少が続いています。特に10代~30代の減少が深刻となり、産業の担い手不足や、地域力低下の要因に。また、観光客やビジネス客の来訪も少なく、「いわて沼宮内駅」は開業からこれまで、日本で最も年間乗降客数の少ない新幹線駅となっています。

東北新幹線いわて「沼宮内駅」▲東北新幹線「いわて沼宮内駅」。年間乗降客数はワースト1。

これらの地域課題の解決と、地域力を高める人材確保のため、岩手町では移住定住のロールモデルとなる地域おこし協力隊を募集します。今回、募集を担当する岩手町役場の高村伸男さん、岩﨑朋之さん、越戸沢友樹さんにお話を伺いました。

岩手町役場▲左から岩﨑さん、高村さん、越戸沢さん。

 

岩手町はこんなまちです

編集部:まず、みなさんが思う岩手町のいいところはどんなところでしょうか。

高村:平成14年には道の駅のオープンや、東北新幹線の盛岡―八戸間が開業するなど、交通の利便性が飛躍的にアップしました。また、岩手町はホッケーや彫刻で知られていますが、同じくらい農業にも力を入れています。農業生産額が100億円と岩手県内でもトップクラスで、県内一の野菜の総合産地。特に春系キャベツの「いわて春みどり」は食味もよく、東北一の出荷量と面積を誇っており、まちの農業をけん引しています。

一面のキャベツ畑▲岩手町の代表的な特産物のキャベツ。見渡す限り一面に畑が広がります。

越戸沢:私は高校は盛岡で、大学で県外に出てから岩手町に戻りました。戻って来て思うのは、岩手町を好きな人が多いということ。まちおこしの一環として、B-1グランプリにも出展している焼きうどんのプロジェクト(いわてまち焼きうどん連合歓隊)に携わるうちに、商店街の店主さんや高校生など、いろいろな人たちと出会いました。そんな中で、法人としてブランディングしながら農業をする人、2次3次産業に発展させる人など、岩手町は面白い人がいるなと感じるようになりました。

編集部:逆に課題と感じている点はどんなところでしょうか。

高村:人口減少によってどうしても衰えていくのが地域力だと思います。地域力を高めるための課題のひとつとして、地元のコミュニティの維持、町外への情報発信を積極的に行わなければと思います。

越戸沢:一部の面白い人たち以外に、目立った活動がないと感じます。また、東北新幹線が開業して東京へのアクセスもよくなったのに、それが首都圏の人に伝わっていないなと。これまでは町内から外へ出る進学者に対して、町内にある企業や仕事紹介などのPRも行ってきませんでした。若者のニーズや、どこにアンテナを張っているかを知ることが必要だと感じています。

岩手町の商店街▲商店街のようす。町民に長く愛される老舗も多い。

編集部:現在、課題解決に向けて町が具体的に取り組んでいることはありますか?

岩﨑:高齢者などの買い物弱者に向けて、食材の移動販売をしています。あえて戸別訪問という形を取らず、ある程度の人が集まる場所で販売することで、少数単位のコミュニティが生まれることを期待しています。

編集部:町内へのアプローチとしては、高齢者に対する福祉の部分が手厚かったということですね。今回、移住定住に力を入れることになったきっかけは何でしょうか。

越戸沢:人口が減り、空き家バンクや廃校の利用という課題が出てきたときに、そこに入ってもらう人への土台の準備が必要だとなったのが経緯です。あとは、農業のまちと言いながらもどんどん農家数が減っているので、担い手が欲しいなと。

石神の丘美術館と道の駅▲まちの中心部にある「石神の丘美術館」と「道の駅」。

 

こんな人に来てほしい

編集部:地域おこし協力隊に求める人物像はありますか。

高村:外からの目で見てもらうことで、私たちが気づかないいいところを情報発信したり、いいものを発掘してもらう、素材を活用してもらえたら。あとは岩手町に入るにあたって、地元民にコミュニケーションが取れて打ち解けて行けるような人に来てほしいですね。協調性があって努力できる人は何でも繋がっていくと思います。

岩﨑:私自身が仙台からの移住者なのですが、15~16年岩手町に住んでみて、とてもいいところだし、特に子どもを育てるのにいい環境だなと思っています。田畑や山などの自然が豊かで、生活に不自由さもない。盛岡や八幡平も近く、週末もアクティブに過ごせます。暮らしを楽しみながらリアルな情報発信をしてもらいつつ、岩手町を「地元」だと思ってもらえるような人に来てほしいと思います。

越戸沢:どういった政策やアプローチを取れば岩手町に来てもらえるか、そのあたりを外の目線から見てもらいたいです。「これがあるから他の市町村ではなく岩手町に移住しよう」という仕組みづくりのために、移住者のレビューが欠かせないので、そういった意見をもらえたらと思っています。難しいことは求めないので、人が好きな、明るいキャラクターの人がいいですね。

岩手町役場ふるさと創生推進室▲着任後しばらくは、ふるさと創生推進室の3名と活動を共にします。

岩手町での暮らしに魅力を感じる方、暮らし・まちの情報発信に興味のある方は、下記より募集要項をご覧ください。

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