記事検索
HOME > ライフスタイル > コミュニティ >
2013年11月26日 ココロココ編集部

福島の地酒でつながるご縁。ふるさとの味がつなぐ「いわき七浜」

「福島のふるさとの味を楽しみ、お客様に笑顔になってほしい。 『お客様同士の思いがつながる場』として、地元を応援し続けたい。」

「渋谷」駅から東急田園都市線に乗り、一駅の「池尻大橋」駅。住宅街を5分ほど歩いたところに、福島の地酒や旬の魚料理を楽しめる「いわき七浜」があります。

この「いわき七浜」がオープンしたのは、東日本大震災直後の2011(平成23)年4月のこと。福島県いわき市小名浜出身の店主・佐藤譲さんに、ふるさとの味や魅力、お店のこだわりを伺いました。

[話] 佐藤譲さん/いわき七浜 店主

 

いわき七浜

 

「いわき七浜」は、どういったコンセプトでオープンされたのですか?

佐藤さん

佐藤:ずっと自分の店を持ちたいという思いがあり、店名には地元にゆかりのある名前を付けたいと考えていました。僕はいわき市の小名浜出身で、小名浜の海と魚に囲まれて育ったんです。子供の頃の夏休みは毎日近くの海で素潜りしていましたね。高校時代には、地元の魚市場でアルバイトをしていました。

それで、魚料理のお店ということと、地元がいわき市ということで、「いわき七浜」という名前で店をオープンしました。この「いわき七浜」というのは正式な地名ではなくて、いわき市の人たちが浜通り沿いにある七つの海水浴場をまとめて呼ぶときの総称なんです。

 

オープンされる直前に、東日本大震災が起きましたね。

カウンター

佐藤:震災直後のオープンだったので、心境はとても複雑でした。もともとこの物件を紹介されたのが2011年の2月で、4月オープンということになっていたんです。魚を福島からも仕入れる予定でしたが、震災後の3月の時点で福島から仕入れが全くできなくなってしまいました。

小名浜の僕の実家はそれほど大きな被害はなかったのですが、水道や電気が全て止まってしまったので、両親を10日間ほどこちらに呼び寄せたりもしました。そうした中で開店の準備を続けて、ちょうど震災の1か月後の4月11日にオープンしました。


地酒とふるさとの味がつなぐ、交流の輪

いわき市や福島県出身の方同士で、地元を応援する交流会を開かれたそうですね。

地図

佐藤:オープンして1か月後くらいに、たまたま来て下さったいわき出身のお客様のすすめで、Facebook上に店のページを作ったんです。それから、いわき市や福島県出身のお客様が少しずつ増えました。そうした地元のお客様同士の交流の場が持てたらいいなと思い、2011年の10月1日に、第1回の交流会を企画しました。

お客様同士の交流の輪が広がって、地元への思いを共有できたり、新たな地元の絆ができたり、情報交換をしたりと、盛り上がりました。交流会だけでなく、地元で活動をされている方に講演をして頂く勉強会も企画しました。また、いわき市の特産品や地酒などを販売する機会も作って、皆で地元の応援をしています。

店の壁にあるいわき市の大きな地図には、来店されたお客様の実家の場所に付箋を貼ってもらっています。この地図を見たお客様同士、地元の話で盛り上がることも多いです。

 

「いわき七浜」では、福島の地酒が楽しめるそうですね。こだわりを教えてください。

地酒『栄川』

佐藤:福島の食材を使って少しでも地元の応援をしていきたいのですが、震災から2年半が経っても、まだ福島の食材は安定して供給することが難しいんです。でも、お酒ならば地元の応援ができるということで、福島の地酒にこだわって仕入れをしています。

福島・地酒

実は、日本酒も新規での仕入れが難しいのですが、福島の酒屋さんや酒蔵さんとご縁があり、福島県外にはほとんど出回らないような希少なお酒や、珍しいお酒なども定期的に卸してもらっています。

現在「いわき七浜」には、常時10種類ほどの福島の地酒を用意しています。さらに、首都圏では取扱いの少ない珍しい銘柄も随時入荷しています。

将来的には、これからどんどん取扱いを増やしていって、福島のお酒だけで常時40銘柄ほどを揃えられるようになりたいですね。

 

「いわき七浜」で味わえるお料理のおすすめは?

目光の唐揚げ

佐藤:やはり魚料理ですね。特に、僕のふるさとの味でもある「目光」という魚です。シシャモくらいの大きさで、脂がのっていて柔らかくて、食べやすい魚です。福島では、この目光を唐揚げにして、丸ごと食べるのがおかずの定番です。初めて食べる方にもおすすめですよ。福島出身のお客様は、この「目光の唐揚げ」と地酒『栄川』で、地元の味を懐かしんでくださっているようです。

刺身

冬にかけてのおすすめは、あんこう鍋ですね。今年は夏の気温が高めだったので、例年よりも少し開始が遅めです。ちょうどこれから、3月いっぱいくらいまで楽しめると思います。「いわき七浜」では、自家製の特製味噌スープを作って、「どぶ汁」という地元のあんこう鍋の味を再現しているんですよ。ぜひ楽しみにしていてください。


福島のふるさとの味を楽しみ、お客様に笑顔になってほしい

最後に、今後のお店の展望と、佐藤さんから一言をお願いします。

佐藤さん・地酒

佐藤:今後も福島の地酒を中心に、できるだけ地元の応援をしていきます。魚や野菜などの食材は、安定した仕入れができるにはもう少し時間がかかりそうですが、これから少しずつ地元に貢献できる機会が増えればと考えています。

「いわき七浜」は、とにかく明るいお店です。僕もスタッフも、いつも笑顔でお待ちしています。お客様には福島の地酒や旬の料理を通して、ぜひ笑顔になって頂ければと思っています。また、笑顔のお客様同士が、自然と仲良くなって頂くのも大歓迎です。「いわき七浜」が、「お客様同士の思いがつながる場」「笑顔になれる場」となれば、とても嬉しいです。忘年会など、どなたにでもご参加頂ける交流会なども随時企画しておりますので、ぜひ気軽にいらしてくださいね。

取材先

いわき七浜

所在地

東京都世田谷区池尻3-18-16 ハイツ旭1F

電話番号

03-6450-9797

営業時間

ランチ11:45~14:30(L.O.13:30)
ディナー[月~木]18:00~24:00(L.O.23:00)
ディナー[金.土]18:00~翌04:00(L.O.03:00)
ディナー[日]18:00~23:00(L.O.22:30)

ココロココ編集部
記事一覧へ
私が紹介しました

ココロココ編集部

ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

人と風土の
物語を編む

 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

人と風土の物語を編む