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2016年4月14日 ココロココ編集部

逆参勤交代から始める地域おこしのフロンティア-花巻市×東北食べる通信×コロカル×ココロココ-イベントレポート

2016年4月10日(日)神田の「the C」にて開催された、「逆参勤交代から始める地域おこしのフロンティア-花巻市×東北食べる通信×コロカル×ココロココ-」のイベントをレポート。

岩手県出身で、「逆参勤交代」を提唱する高橋博之さん(東北食べる通信編集長)と、全国各地の地方創生プロジェクトを手掛ける及川卓也さん(コロカル編集長)をゲストに迎え、花巻市からは上田市長にも参加していただきました。今年度花巻市は、「イーハトーブ地域おこしプロジェクトチーム(地域おこし協力隊)」の2期生の募集を開始しています。

特別ゲストは花巻市 上田市長

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今回のイベントには、特別ゲストとして花巻市の上田市長がご参加されました。

「さっき東京に着いたばかりなんですが、もう花巻に帰りたくなりました。花巻はそのくらい良い所なんですよ。」と上田市長。変わらない自然が残る風景、新しいことを始める若者たちの活動を紹介し、「地元の方とは違った視点を持って、花巻市に来ていただき、たくさんの魅力を見つけていただきたい。」とのご挨拶からイベントはスタートしました。

 

地方には都会で埋められないものがある

ここからはゲストの高橋さん、及川さんによるゲストトーク。お2人の日頃の活動や地方について思うことをお話いただきました。

1人目は「東北食べる通信」編集長の高橋博之さん。高橋さんは「逆参勤交代」を提唱し、都市と地方をかき混ぜる新しい働き方や仕事づくりについて発信されています。

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「都市で働く人は、生きている実感がないと話す人が多い。都市では仕事の分業制、短期的かつ合理的に判断を繰り返す毎日で、頭と心のバランスが崩れてしまっている。一方で現在、大企業が社員研修で、休耕田の開墾に取り組んだり、子育て中のお母さんが、子どもに自然を体験させたいということで田舎に連れていくような状況。頭ばかりが大きくなって、心が支えきれていない。」

頭と心のバランスを考えるうえでお話された、東日本大震災時のエピソードが印象的でした。

「東日本大震災で岩手県沿岸部は甚大な被害があり、都市部から来た多くのボランティアが、瓦礫の撤去や足湯の整備、被災地復興に力を貸してくれました。自分たち被災地の人ばかりが一方的に助けられていると思っていたが、ボランティアの人たちは、『都会で埋められないものが、ここにはある。』と言うんです。僕たちも彼らの心を助けていたということに気付きました。」

 

地方で心と頭のバランスを取り戻す

続いて2人目のゲストトークは及川卓也さん。

及川さんは、株式会社マガジンハウスで、ウェブマガジン「コロカル」の編集長をされています。コロカルは、「ローカルは楽しい!ローカルはカッコいい!ローカルは進化している!」をキーワードに全国各地のローカル情報を発信されているメディアです。

「地域を変えるきっかけとなるのが、地域の人と外部の人(メディア)とのコミュニケーションです。花巻市の地域おこし協力隊や移住者はメディアとしての重要な役割を担っています。」

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また及川さんは、地方とは「ゆるやかに自分たちの創造性を発揮できるフロンティア」だと言います。「企業は収益の最大化が必要とされるが、地方は違います。地域振興はブームではなく、ファンを作ることで長期間で利益最大化を考えることができる場所なのです。」

心と頭のバランスについての話もありました。

「人間が生きていく上での、一番大切で、嬉しいことは『頼られること』。都市では分業制が進み、自分が頼られているかを感じにくいですが、地方にいると頼られていることをより肌で感じることができます。地方は分業制ではない分、自分で多くのことをやらなければいけませんが、心と頭のバランスを取り戻すことができるきっかけになるのです。地域で働くことは、新しいライフスタイルを作り出す重要な役割になってきています。積極的に地方行き、自分のできることを探してみるのはいかがでしょうか。」

 

地方で暮らすためには

上田市長・高橋さん・及川さんによるトークセッションのスタートです。地方で暮らすためのヒントがたくさん出てきました。

「人生の中で、何に価値を置いて生きるかを決めることが大事」と、高橋さん。価値観を考える際のヒントもお話いただきました。

1. 地方でやりたい仕事を見つけることは難しいので、仕事は外貨を得る手段として割り切る
2. 都会で磨いたスキルやネットワークを使って、地方で外貨を得る
3. 子育ての時間や自然豊かな環境の中で暮らすことに価値を置く
4. 地方で自分のやりたい仕事を作ってしまう。地域おこし協力隊の隊員になり、
 地域の課題を解決しながら見つけるのもひとつの手段

地域の課題を見つけ、自分のやりたい仕事を作るには、やはり地域の人と仲良くなる必要があるとのこと。「仲良くなるには、飲み会に参加するしかない!いきなりの移住はハードルがとても高いので、まずは遊びに行って地域の人と仲良くなったり、短期移住を試してみたりして関係を作っていくことが必ず、将来に繋がります。」

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続いて、話は「逆参勤交代」に。

「地域が外部に対し、どんな「こと」が起こっているのかを発信することで、「こと」に興味を持ってもらい、地域に参加してもらう。そして地域の人または自治体が「誰に・何を・どうしたいのか」を具体的に外部の人へ提案することで、もっと逆参勤交代は面白くなる。」と及川さん。
上田市長も、人手不足など花巻市が抱える課題の解決のため、逆参勤交代や地域おこし協力隊に期待をしているようでした。

 

花巻市 地域おこし協力隊の募集開始!

現在募集中の地域おこし協力隊に関して、花巻市役所の高橋さんからご説明いただきました。

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「花巻市の地域おこし協力隊はできるだけ自由に活動してもらいたいと思っています。また、他の自治体とは違い、8月着任です。8月着任なので、夏祭りや秋祭りに多く参加でき、着任後スムーズに地域に入ることができます。また、春の良い時期に花巻市で『(仮)地域おこし協力隊の見学ツアー』があるので、花巻市の環境や協力隊の活動を実際に見ることができます。」

地域おこし協力隊1名に対し、担当職員が1名就くとのことで、受け入れ態勢は整っているようです。

※地域おこし協力隊募集の詳細 https://cocolococo.jp/9131

 

エーデルワインと花巻市のお菓子で懇親会!

イベントの最後は皆さんで懇親会。エーデルワインと花巻市のお菓子で楽しいひと時を過ごしました。 hanamaki0410-report07

 

まだまだ続く!花巻市地域おこし協力隊をより深く知ることができるイベント

・4月28日(木)
地域おこし協力隊入門スクール ―岩手県花巻市の協力隊募集を徹底解説!―
特産ワインを飲みながらの説明会&個別相談会です。現在協力隊として活動している方と話すチャンス!参加者募集中です。

・5月14日(土)
「(仮)地域おこし協力隊の見学ツアー@花巻市」
実際に活動する場所を見学したり、着任中の隊員の話を聞いたりと現地に行くからこそ分かることがたくさんあります。

詳細が決まり次第、ココロココ内で案内しますのでお楽しみに!

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ココロココ編集部

ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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