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2016年12月26日 ココロココ編集部

ローカルにおける伝統と革新 ~求められるコーディネートする力~ イベントレポート

2016年12月15日(木)、三重県のアンテナショップ「三重テラス」で、三重県明和町の地域おこし協力隊募集PRイベント「ローカルにおける伝統と革新 ~求められるコーディネートする力~」が開催されました。そもそも明和町とはどんな町なのか、募集する協力隊の任務とは?イベントに行ってお話を伺ってきました!

明和町からのご挨拶

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まずは主催の明和町役場の中谷さんからご挨拶がありました。「伊勢神宮のある伊勢市と、松阪牛で有名な松阪市の間にある町です。今日は伊勢神宮ゆかり文化が残る町・明和町のことを少しでも知っていただけたらと思います。」と、伊勢神宮に仕えた斎王の都、「斎宮」が存在したといわれる日本唯一の地でもあり、古代から中世にいたるまで、産業・文化を支えてきた歴史ある町だとご紹介がありました。

 

初募集!明和町地域おこし協力隊「産学連携コーディネーター」

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続いて、明和町役場・朝倉さんより、明和町の紹介と地域おこし協力隊の募集に関する説明がされました。

「明和町は人の手が入っていない自然が残り、四季の移り変わりを感じることができる町です。地域おこし協力隊になった方には、明和町と町の外の人や各プロジェクトの関係者をつなげる“縁結び”をお願いしたいと考えております。今、産学官連携で進められている『日本酒プロジェクト』や来年度からスタートする『伝統工芸』のプロジェクトを中心に活動していただくとともに、町の外から来る皆さんの意見をたくさん取り入れ、より良いものを作っていきたいと思います。」と、産学官のつなぎ役となってプロジェクトを推進する人材を募集するとのことでした。

 

地方創生の観点から見た明和町

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続いて皇學館大学の准教授でもあり、明和町の地方創生アドバイザーでもある千田良仁さんは地方創生の観点から明和町についてお話されました。
「明和町では、歴史文化・地域で活躍されている方を繋いでネットワークを作ったり、彼らが活躍できる場を作ることが求められています。現在は日本酒、今後は、伝統工芸や健康をキーワードとしたプロジェクトが進められますが、これらを活性化するために、関係者の間に立って物事を調整するコーディネーターが必要なのです。」

 

「日本酒プロジェクト」のこれまでと今後の活動

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協力隊が今後関わることになる「日本酒プロジェクト」は、明和町と大学、地元の酒蔵さん、農家さんと一緒にお酒造りから販売まで行うプロジェクトです。「農家さんや酒蔵さんの専門の方のお力をお借りし、学生は豊作祈願の神事であったり、2600本の日本酒の販促を担当します。大量生産、大量消費ということではなく、本数が少なくても、斎王や斎宮といった明和町のストーリーを一緒に伝えたいと思います。」

先日、ちょうど1回目に仕込んだ日本酒が出来たとのこと!2月にはこの日本酒を持って、パリで開催される日本酒プロモーションにも参加されるそうです。「とっても美味しい日本酒ができました。あっという間に売れ切れそうです。」と「日本酒プロジェクト」を担当されている千田さんは、明和町の新しい地酒に期待を寄せていました。

 

伝統工芸の技術を今の時代に合ったジュエリーを

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来年度から伝統工芸のプロジェクトがスタートするにあたり、伝統工芸の技術を使って、今の時代のニーズに合ったジュエリーを展開されている株式会社KARAFURUの黒田さんから伝統工芸の新しい在り方についてのお話がありました。

黒田さんが起業を考えたきっかけは前職の歌舞伎を扱う会社で、伝統工芸に出会ったこと。その魅力に惹きつけられるとともに、ビジネスの可能性を感じた黒田さんは会社を辞め起業しました。アパレルのようにロット数、シーズンに左右されないもの、そして職人さんの手が凝った高価格帯の商品でも一般のお客様が手に取りやすいもはジュエリーだと気づき、全国各地の職人さんとコラボレーションし、商品を展開されてきました。

パールに金色の蒔絵を施したネックレス、熊本の肥後象嵌の技術を使ったイアリング、江戸切子のイヤリングなど、伝統工芸の技術を活用した新しい商品が続々と生まれてきています。伝統工芸でも、新しい視点で見つめ直すことで、今回ご紹介いただいたようなジュエリーなどの新しい伝統工芸のかたちを作ることでできることを教えていただきました。

 

地域おこし協力隊卒業後の将来について

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実際に茨城県常陸太田市の地域おこし協力隊の任期終了後、そのまま地域に残り起業した合同会社ポットラックフィールドの長島由佳さんは、地域で暮らしていく上で大切にしていたことを教えてくれました。「基本は、地域を知ること。24時間アンテナを張り巡らせ、お祭りに参加しての良さを発見し、その伸びしろを伸ばすことを考えたり、信頼関係を築くことは常にしていました。」

地域おこし協力隊だった当時、卒業後のことを「どうするの?」と聞かれてたという長島さん。しかし、実際に地域の人と一緒に活動をすることを通して、自分の生き方・価値観がガラッと大きく変わったそうです。「地域で暮らすと、もっと深いところで地域の人と触れあうことになります。3年間の活動後は、将来的に自分のしたいことと思いとうまくマッチングできるように、協力隊の制度を上手に活用するといいと思います。」と教えてくれました。

 

コーディネートをする上で、大切にしたいこと

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その後は、参加者から「同じ方向に進むように調整をしたり、人の間に立って調整したりとコーディネートをする上で日頃気をつけていることは?」と質問があり、3人それぞれの立場から答えられました。

―千田さん
「計画的進んでいるか、と考えて進めることも大切ですが、そこを気にしすぎてもいけません。プロジェクトを進行していくうちに新しい繋がりからとんでもなく面白いことが生まれることが多々あります。コーディネーターは、プロジェクトに関わる人たちの話をよく聞き、思いを汲み取って、人と人の繋がりの中で起こる化学反応が楽しめるようになることが大切だと思います。」

―黒田さん
「実は、コーディネートすることが苦手なので、自分が主体的に活動するようにしています。自分自身が覚悟を見せないと、こちらの思いに共感をしてもらえないし、一緒にやろうと思えないからです。覚悟を見せることが大事だと思います。」

―長島さん
「『やりすぎないこと』が大事だと思います。協力隊は地域に入る時はもちろん、地域の人と信頼関係が築けていません。自分より長く地域にいる先輩から教えていただくという姿勢を大事にし、自分の思いを語りすぎず、目の前にいる人の思いや考え方をじっくり聞いて、地域の人と繋げ、実行していくようにしていました。」

地域の中にいる人・外から地域に関わる人・協力隊卒業生という視点から、三者三様のコーディネートに対する考えを聞くことができました。この3人のゲストの意見で共通していることは、「自分自身の活動に対する姿勢、覚悟を持ち、真摯に相手と向き合うこと」ということ。人と人の間に立つ上で大切にしたい事を教えていただいたように思います。

 

三重県銘菓をお供に、交流会!

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交流会では、三重県銘菓の焼き菓子やかぶせ茶がふるまわれました。参加者の皆さんはゲストの3人とお話をされたり、参加者同士で意見交換をするなど有意義な時間を過ごされていました。

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今回、会場には明和町からお持ちいただいた、見た目はまる本物の革に見えるが、実は和紙という明和町の伝統工芸「擬革紙」を使った巾着や名刺入れ、紙の状態の物をお持ちいただきました!独特な手触りと革にそっくりな見た目に参加者の皆さんは「これが和紙なの!?」と終始驚いていました。

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伝統文化が残る町、明和町。明和町の地域おこし協力隊は2017年1月13日(金)まで募集しています。明和町に興味を持たれた方、日本酒、伝統工芸をキーワードに、人と人をつなげることに興味を持たれた方はぜひ応募を検討してみてくださいね!

 

【産学連携コーディネーター募集概要】

明和町地域おこし協力隊募集要項はこちら!

明和町を紹介する記事はこちら!

「斎王」ゆかりの地、三重県明和町で始まる「伝統×革新」の取り組み 

伊勢神宮と深い縁のある三重県明和町が産学官連携で取り組む日本酒づくり

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ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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 「風土」という言葉には、地形などの自然環境と、 文化・風習などの社会環境の両方が含まれます。 人々はその風土に根ざした生活を営み、 それぞれの地域に独自の文化や歴史を刻んでいます。

 過疎が進む中で、すべての風土を守り、 残していくことは不可能であり 時とともに消えていく風土もあるでしょう。 その一方で、外から移住してその土地に根付き、 風土を受け継ぎ、新しくつくっていく動きもあります。

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