那須烏山市に眠る資源を活用したい人を募集!
休日の昼下がり、イベント会場である東京・渋谷のコワーキングスペース「co-ba shibuya」に参加者が集まりました。栃木県出身の参加者が半数ほどを占めましたが、中には栃木県に行ったことない方や地域の「場づくり」に興味があり参加したという方も。また、小さな子ども連れの参加者も見受けられました。
はじめに、那須烏山市まちづくり課の佐藤博樹さんが主催者挨拶を行い、イベントがスタート!那須烏山市は、映画撮影予定 だったり、450年の歴史を持つ地域の祭り「山あげ祭」が秋にユネスコ無形文化遺産登録予定だったりと、今年は例年よりも賑わいそうです。 「海はないですが(笑)、それ以外は何でもあります!」と、“栃木ジョーク”で会場を和ませる佐藤さん。「せっかくある資源が埋もれたままで活用できていないのが実情です。」と地域おこし協力隊募集の経緯を話しました。
続いて那須烏山市まちづくり課の佐藤篤さんから那須烏山市についての紹介。栃木県東部、茨城との県境に位置する那須烏山市。JR烏山線には日本初となる「蓄電池駆動電車システム」を採用した車両が運行しており、鉄道ファンが多く訪れています。市の中心には那須岳山麓を水源とする「那珂川」が流れる自然に恵まれた街で、川ではラフティング、山ではパラグライダーといったレジャーを楽しむことができます。「山あげ祭り」や伝統工芸品「烏山和紙」など、地域の芸能・文化も古くから盛んな地域なのです。「烏山和紙」の卒業証書を高校でもらうのが“栃木あるある”なのだそう。
そんな豊かな那須烏山市ですが、JR「烏山」駅前は閑散としていて、空き家が増えている現状が説明されました。「地域おこし協力隊として那須烏山に眠っている資産を使って何かやりたい方を募集しています。」と佐藤さん。地域おこし協力隊として那須烏山市で活動することになった場合、市役所の職員以外にもメンターとして「とちぎユースサポーターズネットワーク」のローカルで事業を展開するために必要な知識や技術、ネットワークを学ぶ研修プログラムが用意されるなどのサポートがされるそうです。
「場づくり」とは拠点づくり
続いては「地域の場づくり講座」。ゲストの村瀬正尊さんが「地域の場づくり論」と題して、事例の紹介や活動を通じて感じることを話してくれました。全国各地の事業型まちづくり会社の連携組織である一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスの理事としても活動されており、まちづくりに関わっていくなかで感じている「地方活性化は途上国の経済開発とニアリーイコールです。」というインパクトのある言葉に、会場からはどよめきが。
「『場づくり』とは拠点づくりです。」という村瀬さん。自身も宇都宮市内にある倉庫を改修したコワーキングスペース「HOTTAN」に事務所を構えながら運営をし、地域を盛り上げていますが、不動産を活用することで、街が賑わいを取り戻した栃木県の事例をいくつか紹介してくれました。
宇都宮の事例では、空き店舗をシェアオフィス「モミジオフィス」に改修。さらに近くにカフェが欲しいと、カフェ「ファー・イースト・キッチン」をつくったことをきっかけに、出店したいお店が増えてきたことから、商店街が活気を取り戻しつつあることをお話しされました。 小さなところから始まりながらも次第に街を巻き込んでいく事例が数々紹介され、参加者に「私でもできるかも」という気持ちを芽生えさせてくれました。
最後に、地方の不動産を活用して行う「場づくり」の要点を以下にまとめてくれました。
・家賃が安いエリアの遊休不動産を活用する
→家賃安い、裏路地の物件を攻める
・皆で始めない。自分がやりたいこと・できることから始める
→自分ごとで始める民間自立型まちづくり、協力隊には任期があるので少しずつ早く
・スモールスタートでいい
→お金をかけずにお金を稼ぐ
「要は、やるか、やらないか。」と村瀬さん。とはいえ、いきなり飛び込むのも勇気がいるもの。「いきなり住むのではなく、行ったり来たりで関わるのも手。」だとアドバイスしてくれました。
夢→希望→目標で、思いを実現
那須烏山市の名物「えちごや丸山菓子店」の「元祖 鮎もなか」とどら焼き、そして「烏山製茶工場」で作られた紅茶を飲みながら、那須烏山市で活躍されている皆さんのお話しへ。
20年以上看護師として働いてきた横山孝子さんは、漠然と「人の役に立ちたい」と考えていた夢を目標に変え、45歳を過ぎてから那須烏山市初の訪問看護施設をつくり、2015年には、訪問介護の有償ボランティアサービスを行う「キャンナス烏山」も設立しました。
那須烏山市に会社をつくるにあたり、資格をとったりセミナーに参加したりするのはもちろん、地域のことを知ろうと消防団に入ったそうです。また、目標を実現させるために大切なのは「とにかく周りに、私はこれをやりたいとしゃべること。」と横山さん。そうした気持ちにまっすぐで地道な活動が実を結び、友人の紹介で事務所が決まり、活動内容が新聞やテレビのニュースで取り上げられたことで、仲間が当初の5人から10人にも増えたそうです。
今後は次の目標である「人々の終の住処」となる場所を、空き家を活用して実現していきたいと、話してくれました。
空き家を使いたい人とマッチングして街を元気に
続いては、那須烏山市の建築設計事務所で一級建築士として働く齊藤さん。
那須烏山市で生まれ育った齊藤貴広さんは、近代化遺産に指定されていたJR「烏山」駅が建て替えられてしまったことをきっかけに、改めて地元の町並みに目を向けるようになりました。そこで、空き家対策のプロジェクト「ハウスブックプロジェクト」を設立。JR「烏山」駅前の空きオフィスを拠点に、空き家の実態調査を行い、空き家と空き家を使いたい人とマッチングを進めていくプロジェクトです。しかし、空家を貸すことに抵抗があったり、建物と土地のオーナーが違うと、建物を残すことが難しく、空き地になっていってしまったりするのだそうで、そういった難しさも教えてくれました。
そんな中、齊藤さんは新たな事務所としてぴったりな空き家を見つけ、改修予定なのだそう。「ワークショップ形式で改修する予定なので興味がある方は是非参加してください。」と声を掛けていました。
そのほかにも様々な活動をする齊藤さんは、那須烏山市のおみやげを作ろうと仲間と共に「烏合の手」を結成し、特産の梨やトマトなどを使ったジュースを開発しました。「7色の烏を飛ばそう」というコンセプトで、今後種類を増やしていくそうです。
こんな仲間を募集! 共に場をつくろう
3名のゲストによる「トークセッション」が行なわれました。まずは、人が集まる場所をつくる上での醍醐味を尋ねられると、
村瀬さんは「シェアすることで家賃を安く抑えられる点ですね。」と金銭的なメリットを紹介。齊藤さんは「動いていると声をかけてもらえたり、動くといいことあるなと思います。」活動が広まることをメリットとして上げて、横山さんも「自分が街に必要だなと思うことをやっていくと仲間が増えていきます。」と答えていました。
どんな仲間が欲しいかという質問に対して、横山さんは「お年寄りは外にでる機会が少ないんです。要介護の人も普通にお買い物したいですし、お年寄りが着飾って出かけるようなカフェが欲しいです。」とお年寄りがいける場所を作ってくれる人を希望。那須烏山市の佐藤さんも「宇都宮の事例でもカフェができて盛り上がったので、カフェやパン屋さんが欲しいです。」と、個人的な欲も含めながら答えてくれました。
また、地域おこし協力隊に求める人材像は? という問いに、那須烏山市の佐藤さんから「空家がいっぱいあるので、そこにコンテンツを入れてくれるような、自主的に開拓して動いてくれる人がいいですね。もちろんサポートはしっかりします!」という答えがあったので、カフェをやってみたい方にオススメかもしれません。
思いを形にするワークショップ
ワークシートを使って、「場づくり」の企画を考えるワークショップが行なわれました。ゲスト3名と那須烏山市の佐藤さんと「とちぎユースサポーターズネットワーク」古河さんの4グループに分かれ、興味があったり自分のやりたいことと近いグループのところへ行き、地元のニーズや課題を抽出しました。
この日のイベントを通じて参加者からは、「那須烏山市が様々な取り組みをしていることがわかりました。」や、「地域おこし協力隊に何も知識がありませんでしたが、皆さんの話を聞いていると、目標に向かう途中のやり方が、わかってよかったです。」といった声を聞くことができました。
地域の「場づくり」を仕事にする那須烏山市地域おこし協力隊は、現在エントリーを受けていて、第1次募集は7月15日までとなっています!
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