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五島列島・島デザイン若者会議(シマカイ)デザインサロン イベントレポート

このイベントは終了しました

島デザインサロン

人口減少・高齢化社会の最先端にあり、人口減少がリアルに島の生活に響いてくる島。島の未来をなんとかしていかなければ行けないと思う中で、行政、市民での施策にも限界がある状況があります。
そんな状況と問いを考えることから始まった、五島列島・島デザイン若者会議(シマカイ)
五島列島・島デザイン若者会議は、島に住む若者(地方)と島の外に住む若者(都市部)、また、それぞれに異なる専門性を持つ多様な若者が、これからの五島列島について、ソフト・ハード双方からデザインし、島の活性化を考える会議です。
そんなことで、2月1日に、丸の内にある3×3labo(さんさんらぼ)で、行われた、シマカイの島デザインサロンをご紹介します。

シマカイでは、10月に、東京でスタディミーティング、11月に、五島列島で提案合宿するデザインキャンプを行ってきました(こちらの様子については、文末にある記事をご覧ください)。今回は、五島列島の中でも、福江空港や港など交通の拠点にもなっている福江島(五島市)で実施しました。

今回の島デザインサロンの大きな目的は、10月に参加した東京スタディミーティングメンバーへの、五島列島でのデザインキャンプの報告会と、実践者のゲストからプレゼンとディスカッションで、シマカイプロジェクトの実現化を考えていくことの2つにありました。

まずは、シマカイの活動主旨と、これまでの活動の報告(東京スタディミーティング、デザインキャンプなど)を、シマカイ共同代表の北島美喜さんとやまさきまさきさんが行いました。

島デザインサロン

デザインキャンプで提案した2チームの提案内容のプレゼンです。
Aチームの提案は、
『五島ゆるまなび大学ー観光・生活・教育を絡めた若者に響く情報発信ツールと
誰もが先生と生徒になれる「ゆるまなび活動」』
でした。
観光や情報発信の課題が五島にある中で、それらを束ねる情報発信ツールと、行政、市民、外部の若者が連携した体制づくりが必要と提案しました。中でも、WEB上には決してあがってはこない、元々五島の中でも日常的に息づいている生活や教育活動が、観光にも有効的で、うまく情報発信やワークキャンプなどプログラム化すると、観光客との交流も生まれ、観光客の満足度の高い観光プログラムを組めるのではないか、という提案でした。

島デザインサロン

Aチームの提案内容はこちらです。

 

Bチームの提案は、
『ゆるしま・しるしまー移住者増加に向けた情報発信支援・現地体験プランー』
でした。
移住意識には、リタイアされた方などすぐにでも移住したい「本気モード」と、
若者などに多い、いつか移住したい、いつか地方で暮らしたい「ゆるモード」があります。
その中で、その中で、田舎の良さの中でも、五島にしかない良さを見つけ出し、発信し、五島を選んでもらう必要があります。
古民家スティ、ゲストハウス、民泊など、移住意識が徐々に高まるプランを、古民家リノベーションのケーススタディと、フライヤーなどを絡めて提案しました。

島デザインサロン

Bチームの提案内容はこちらです。

 

五島で実施したデザインキャンプでこの2つの案を提案しましたが、まず今年、シマカイとして取り組む事、「五島サイハッケン」について、やまさきさんが話をしました。

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“五島の方と一緒に取り組んだデザインキャンプ。

しかし、五島の方が話す五島の魅力が、海、山など、自然がきれいという観光マップにも載っている情報と同じでした。地域の人が地域資源をうまく説明できないと感じました。でも、彼らが悪いのではなく、知識が小・中学校までで止まっていると感じました。大人になると、地域資源を学ぶには自ら機会を作らないと学べないということに気がつきました。五島の地元の人たちが地域の魅力を洗い出した資料を見る機会がありましたが、それらもやはり地域の魅力が、初めて来た人(観光マップ等を見た人)と同じになっていました。

一方で、デザインキャンプでは五島を熱心に説明してくれた地元の方もおり、一緒にいてとても楽しかった。資料館の膨大な情報を読み込むことよりも、地元の皆さんが五島について語れるようになれば、島全体が資料館になり、観光客も身近に五島のことを知れるのではないかと感じました。

「若者ごとで始められる島の活性化」から初めて、「暮らしたい島、行きたい島」を考えていきたい”

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と、今後の実現化プラン「五島サイハッケン」の提案でした。
東京と五島の遠隔地で、お互いのメンバーが連携していくには、難しい面も多いですが、お互いのモチベーションや目標を共有して、ゆっくり着実にやっていきたいという内容でした。

島デザインサロン

五島サイハッケンの内容はこちらです。

 

□ゲストプレゼン

まずは、WEBデザインの会社をやられている、須賀大介さん。
福岡移住計画や島根県雲南市場づくりの学校などのプロジェクトなどの実践例から学びます。
まずは、須賀さん自身が、移住や地方のプロジェクトに関わるきっかけを話してくれました。

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“WEBとデザインの仕事をしていて、どう売っていくかを考えていたが、違和感が生まれました。
一方で、ママンカ市場という、友人の茨城の農家と連携して、下北沢の神社でマルシェを行っています
そこで、西村佳哲さんの「いま、地方で生きるということ」を読んで、地方に身を置いてみようと決意し、福岡への移住を決意しました。
その際に、下北沢に会社があったので、会計をオープンにし、利益の5割をシェアするなど、複数拠点で組織を運営する方法も考えました。
福岡から30分の糸島に住みました。虫も触れなかった子どもが、ザリガニを掴んでにっこり笑う姿に変わり、子どもの成長とたくましさを感じ、田舎の良さを肌で感じました。”

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また、島根県雲南市の「場づくりの学校」と福岡移住計画のプロジェクトについての説明です。

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“島根県雲南市場づくりの学校は、
よそ者のゲストと地域おこし協力隊などの地域の中の人から学ぶことをやっています。1回目は下北沢、2回目は島根でやりました。
また、「福岡移住計画」は、ぼくらの移住計画というイベントを東京でやったことから始まり、福岡移住計画もこれから本格的に始動していきます。
最近は、島村菜津さんの「スローシティ 世界の均質化と闘うイタリアの小さな町」を読んで、地域同士がつながっていくことの必要性を感じています。”

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島デザインサロン

続いては、金谷BASEの金子愛さん。
金谷BASEの取り組みについて、お話しいただきました。

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“内房総の千葉県君津市にある金谷で、鋸山で有名な場所。
縁あって、人がいなくて困っていると、地元の有志の方とまちおこしに取り組む中で、移住しました。
10年間空き家だった建物を、WEBでボランティア仲間を集め、みんなで半分セルフリノベーションをしました。
そこで、老若男女関係なく、人がつながる場をつくり、まちおこしの拠点を作っていきました。
金谷BASEは、元々ホテルで、その後植物園に転用され、空き建物になった、変な建物。
今は、アトリエスペース、コワーキングスペース、フリーワークショップスペース(工具のシェアをしている)など、若い女性やアーティストなどが集まっています。”

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そこで、金谷BASEの取り組みの柱として、3つのキッカケづくりの活動をしているとのこと。若い女性や若者が金谷に集まっている現象や、今、アツイ金谷について、話をしてくれました。

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”『金谷に足を運んでもらうキッカケづくり』として、アウトドアウェディング、green drinks、BBQ、手ぶらCAMP(コールマン協賛)の活動をして、金谷にきてもらえるようなイベントなどを実施しています。『金谷で仕事をする・滞在することをイメージするキッカケづくり』として、仕事部分は、雇用をつくる(地域内で営業活動)、合宿や会議室を提供することなどを行い、滞在部分は、「しへいどん」という古民家をリノベーションしてゲストハウスプロジェクトを行っています。最近は、『町の人と交流するキッカケづくり』として、観光協会主催のクリーン作戦や金谷小学校の運動会を一緒に盛り上げたり、金谷みらい会議でまちづくりの議論を地元の方としたり、地元の方を招待してのイベント(映画上映会、ろうそくナイト)を開催しています。”

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最後に、金子さん自身も東京と金谷の2拠点生活をされているそうで、新しい暮らし方と金谷BASEについて、お話をしてくれました。

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”金谷BASEがハブとなり、二拠点生活を実施する人が増えるキッカケづくり、田舎暮らしのキッカケづくりをしていきたい。生き方・暮らし方の選択肢は広い、暮らし方は東京だけじゃないということを感じています。”

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島デザインサロン

五島列島支援プロジェクトの小島さん。五島列島支援プロジェクトの取り組みやきっかけについて、お話をしてくれました。

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”祖父が五島列島の久賀島出身で、自分はゆかりがなかったが、
自分のルーツを知るために5年前に五島を訪れたことがきっかけ。
島は、人口1,000人を下回ると、生活圏が形成できないとされ、強制退去の対象になり島の無人化がおこると聞き、この問題に対して危機感を感じました。
そこで、五島列島支援プロジェクトを始めた。
最初は、どう活性化させるかを考え、1次産業(農業、漁業)の人材をどう呼び込むかを考えました。
しかし、呼び込むには時間がかかるので、まずは発信だと考えました。

ただ、島は人口が少ないので、地産地消が通用しない。そのため、外に流通させるしかないが、生鮮食品は鮮度が2日しか持たないし、東京とのつながりもないので、流通できていないのが現状です。

発信などで紹介はできるが、それと消費者(飲食店)が買うかどうかは別物。魚のサイズや量を毎回一定に保てないなかで取り扱ってもらうのは大変だった。これらに対しては、飲食店に研修を行い、五島の良さや事情などを根気強く伝えたり、料理人にも来たものを捌いてもらえるようお願いする活動を実施しています。”

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島デザインサロン

 

□ディスカッション
ディスカッションには、プレゼンターの3名(須賀大介さん、金子愛さん、小島由光さん)に加え、コメンテーターに長崎大学客員教授の桃井さん、シマカイメンバーの北島美喜さん、やまさきまさきさん、加藤正紘さん、土屋光太郎さんが登壇し、コーディネーターとして、泉山が参加しました。

島デザインサロン

島デザインサロン

シマカイの提案と実現化プランの感想や印象などから議論が始まりました。
中でも、こうゆうプランはたくさん出てくるが、誰がいつまでにやっていくというプレゼンもしっかりしないといけないという意見が出る一方で、地元の人を巻き込むには、じっくりやっていく事も必要で、スピードを求めすぎてはいけないなど、プロジェクトを進めていく上でのペースの話も出ました。

地域に入って活動するにあたってのゲストのアドバイスとして、ビジネスとマイプロジェクトのバランスの話が出ました。本業とのバランスがどっかで崩れたり、 時間をかけて行動に示さないと信用を得られない、地元を巻き込むのが課題という議論で、移住するなど現地にいればいいが、挨拶から始まるところもあり、東京メンバーで活動していく上での課題点も出てきました。

加えて、地域に入っていく上で、ビジネス上でのしがらみの少ない女性や子供から入るといい、地元の人に自分が得意としているWebサイトを作りプレゼントすることで交流が深まり、だんだん活動の根っこが生えてきたというような応援アドバイスの話もありました。

実践者からのアドバイスは、これからプロジェクトを本格的に進めていく上で、参考になる話が多かった印象です。シマカイメンバーがこれからどう活動していくか、今後の活動に注目です!

島デザインサロン

会場との質疑の中で、
ゲストの方々が活動されている中で、移動の交通費をどう確保しているのか?という気になる質問がありました。自治体が支援していたり、地方の生活で、東京よりも生活費を抑えて、交通費に充てているという状況のようです。やはり、大変な部分ですね。

また、五島の自然の写真は見れたが、どんな島の人がいるのかを知りたい、特にアンダー40代という質問があり、島の名鑑やスターをこれから発掘していきたいとシマカイメンバーは話しました。

シマカイメンバーも、デザインキャンプの間、たくさんの五島の人にもてなされ、古き良きコミュニティや島のゆるい暮らし方に触れました。そういった魅力を今後も第三者に伝えていきたいと話していました。

以上、このディスカッションを終え、島デザインサロンは、今後のシマカイの活動への期待感と共に終わりました。最後は、ゲストとシマカイメンバーで、集合写真をパシャリ。

島デザインサロン

島デザインサロンの後は、五島の食材が食べれる東京立ち飲みバルで、ゲスト、シマカイメンバー、島デザインサロンの参加者が、五島の食材を体感しながら、懇親を深めました!

島デザインサロン

photo:五島列島・島デザイン若者会議(シマカイ)

photo by madoka mochizuki

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これまでのシマカイの活動についてはこちらをご覧ください。

マチノコト>東京から考える五島列島の未来~五島人と東京人の連携のあり方とは?五島列島「島デザイン若者会議」東京スタディミーティング

マチノコト>五島列島の未来について考える~自然景観や食などの魅力を体感する~五島列島・景観デザインキャンプ1日目」

マチノコト>五島列島の未来について考える~本質的な課題や若者ならではの提案を考える~「五島列島・景観デザインキャンプ2日目」

マチノコト>五島列島の未来について考える~最終発表会まであと1日!最後まで全力で提案をブラシュアップ!~「五島列島・景観デザインキャンプ 3日目」

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ココロココ編集部ココロココでは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトに、移住や交流のきっかけとなるコミュニティや体験、実際に移住して活躍されている方などをご紹介しています! 移住・交流を考える「ローカルシフト」イベントも定期的に開催。 目指すのは、「モノとおカネの交換」ではなく、「ココロとココロの交換」により、豊かな関係性を増やしていくこと。 東京の編集部ではありますが、常に「ローカル」を考えています。

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